122話 お土産

「マジか」


 床に差し出されたお土産。もとい七幹部の首を観察する。


『色欲のセレスティナ』・『怠惰のスクルト』・『暴食のグラスト』・『嫉妬のヘレナ』・『憤怒のダルファー』・『傲慢のゴルダック』・『強欲のアルフォース』


 と右から順番に並べてあった。


 床が血まみれだ!


 ていうか、原形を留めていない奴らが多すぎるぞ!


『強欲のアルフォース』なんかに至っては、顔面が崩壊している。


 いや比喩じゃなくて、文字通りの意味で。


 ていうか、お前死んでたのかよ!だから人間界に現れなかったのか。


 色々ツッコミたい気もするが、取り合えずエレナに一言、言わなければ。


「良くやった」


「えへへ。マスター」


 取り合えず、褒める事にした。


 こいつらを殺しておいたおかげで、人間界に侵略をする事は無くなったからだ。


 未来では、魔王となった『傲慢』が人間界に魔物を送って来た。


 俺達が邪魔をして侵略を阻止していれば、今度は『四天王』を送って来たのだ。


 それを、未然に防げたのは大きい。


 未来の出来事を思い出し、思わず懐かしい気持ちになった。


 ん?今気が付いたがエレナから俺とがするな。


「エレナ。お前『捕食王』を喰っただろ。」


「うん。吸収したよ!これでマスターとお揃いの能力になった!」


 やはりか。問いかけると正直に答えるエレナ。凄く嬉しそうだった。


 という事は、【不眠不休】とかの能力を得たことになるな。


 この能力はヤバいぞ。数百年睡眠を取らなくても、身体になんの影響も無いからな。


 それに肉体的に疲れにくくなる。ありがたいことだ。


 まぁ精神の方は別だが・・・・


「ていうか、そこに転がってる幹部も喰ったな?」


「えへへ...........バレた?」


 更に問い詰めると、笑って誤魔化すエレナ。


 何故分かったのか?


 それはエレナから発せられる匂いに、『強欲』・『憤怒』・『傲慢』・『捕食』の混ざった匂いがするからだ。


 他にも知らない匂いが、4種類もある。


 きっと『色欲』・『怠惰』・『暴食』・『嫉妬』に違いないだろう。


 まぁ首しか出さない辺り。そこから下は全部食べましたよと、言っているようなモンだ。エレナは『吸収』するのが好きだからな。


「取り合えず、こいつらの首を捕食するか」


『色欲』から順に、全てを食べる事にした。


 ダブってる奴らは、狂歌達にあげるか。


『【色欲】を習得しました。』


『【怠惰】を習得しました。』


『【暴食】を習得しました。』


『【嫉妬】を習得しました。』


 と脳内に表示される。


 更に能力が増えたな。まぁこれ以上強くなっても意味はないが・・・・


「エレナ『憤怒』を喰っていいぞ。全員持ってるからな。ついでに床の掃除頼む。」


「了解~」


 エレナは液体と化し、床に染みていた血と竜の首を吸収した。


 心配していた床の赤いシミは、あっという間に無くなっていくのだった。

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