第五章 遡行世界編

81話 狭間の空間

*読者様へ:ネタバレになりますので、少しの間、章の名前を伏せさせて頂きます*


 □■□■


「ん?」


 目を覚ますと違和感を感じた。まるで身体が宙に浮いているかのように、浮遊感を感じる。


 変身は解けていた。狼でもないただの人間の姿に戻っている。


「ここはどこだ?」


 気が付くと知らない空間にいた。様々な色が乱れあい、常時変化している。


「そうだった。確かあの時.....」


 朱雀の道ずれでこの異空間に吸い込まれたのを思い出した。


「しかし気分が悪いな。」


 身体中が物凄い倦怠感に襲われる。きっと【限界突破】の影響のせいだろう。長時間使っていたせいだ。


 暫くその場を観察していると、突如胸に痛みを感じた。


「ガハッ!」


 吐血し痛みに耐える。しかし更なる激痛が全身を襲ってきた。


「がああああああああ」


 暫く激痛に耐えていると痛みが止んだ。確認するが何処にも怪我の影響はない。


「代償は終わってなかったのかよ。」


【覇気-命削】のせいだろう。魂にヒビが入りすぎて自分でもと実感する。


 魂の修復は不可能だ。壊れてしまった物はもう直せない。だから諦めた。


 だけどその前にあるべきことがある。


「朱雀はどこだ。」


 周りを見渡すが見つからない。とりあえずここから移動することにした。




 ★☆★☆


「やっと見つけた。」


 異空間を探索していると数分で朱雀を見つけることが出来た。


 息をしていない。既に死んでいるのだろう。


 赤髪に金のメッシュのある少年の姿だった。


「【捕食】」


 人型となった朱雀をその場で喰らった。


 血肉を引き千切り、骨を噛み砕く。


 完食するのに30秒とかからなかった。


「人間喰ってるみたいで気分が悪いな。」


 そういうと



『【蘇生魔法】を習得しました。』


『【魔力貯蔵】を習得しました。』


『【魔力覚醒】を習得しました。』


『【不死鳥化】を習得しました。』



 と脳内に表示される。



【魔力貯蔵】…魔力の貯蔵をすることが出来る。限界はない。


【魔力覚醒】…魔法で消費される魔力が半減され、効果が増大する。



「よし。」


 ついに【蘇生魔法】を奪う事に成功した。

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