79話 決死の覚悟

 ゴーすトさんいつもありがとうございます。感謝です。次回で4章完結です。



 ▽△▽△


 左目の龍眼を赤く光らせ、朱雀の首を切り落とした。


 地面に転がる不死鳥の首。


 もう何回目だ?何回朱雀をころした?


 もう覚えていない。殺す度に何度もコイツが生き返るからだ。


 ぶっ続けでギリギリの戦闘しているが一向に朱雀は死なない。いや、死んでくれない。


 そろそろ限界だ。もう魔力が足りなくなってきた。【覇気】も使い切った。


【強欲】を使ってトドメをさしたが、死亡すると効果がキャンセルされる。【呪詛魔法】で殺しても意味が無かった。何故か解呪されるから。


 奥の手を使っても生き返る。意味が無かった。そして何より生き返る度に魔力などが。あまりの理不尽さに心が折れそうになる。


 長時間によるギリギリの戦闘に集中力が切れる。


 死体に魔力が集まっていき、すぐに復活する朱雀。


 そのことを朱雀が見逃すハズも無く


「隙あり!『不死鳥之一撃フェニックス ストライク』」


 赤く光輝くオーラを纏った朱雀が、上空からダイブしてきた。


(ああマズいな。疲労でぶっ倒れそうだ。300年間死に物狂いで活動していた時よりキツイとはな。)


 黒狼の状態で回避するが間に合わない。このままだと直撃して終わるな。


「マスター。頑張りすぎだよ。」


 そう思っていると、エレナが前に出て庇ってくれた。


 魔力障壁で壁を作り、衝撃にそなえる。


 落下地点から大爆発が起き、周囲に衝撃波が飛んだ。


 あまりの威力に吹き飛ばされるが、エレナがクッションになってくれたおかげでダメージが軽減される。


「おい。復活の原因の特定は....」


「もう潰したから大丈夫。マスターは少し休憩してて。次は私と交代。」


 言われるがままエレナと交代することになるのだった。




 ★☆★☆


 英玲奈エレナ視点


 マスターのボロボロな姿を見ていられない私は、急いで復活する原理を調べた。


 何度もマスターが殺したおかげで原理が分かった。


 答えは周囲にあるマグマだった。魔水並みに魔力の濃度が濃かったんだ。


 死んだ直後に蘇生を発動させ生き返る。それには膨大な魔力が必要。だから蘇生直後は生き返ると魔力が無くなってしまう。周りから魔力を吸い取って全快していたんだ。


 私は全てを吸収した。復活の源を。ここで殺せば何とかなる。


 だから私はマスターと交代した。


「マスターを傷つけるやつは許さない。」


 今までの怒りをすべてぶつけるために。


 もう覇気は使えないけど、生命力を変換すればまだいける。


「【覇気-命削】全力解放!」


 私は全力で朱雀に戦いを挑んだ。




 ★☆★☆


 エレナが、生命力を変換して覇気を使い始めた。


 朱雀と戦っている。赤黒いオーラを纏い、今まで吸収してきた生物に変身している。


 白虎に変身し、黒炎を腕に纏い攻撃し、


 青龍に変身し、青雷を遠距離で当て、


 玄武に変身し、重力魔法と、収束された光魔法を放った。


 一部でも吸収していれば変身可能なのだろう。


「おい。それ以上は危険だ」


 もうとっくに時間が過ぎているこのまま行けば


(なにを言ってるんだ俺は。元々はアイツを利用するために仲間にしたんだろ。)


「辞めろ!魂にヒビが入るぞ!」


 このまま使い続ければいずれ死ぬ。


(なんで必死になってとめる。あいつはそれ程の価値があるのか?)


「......」


 必死になって戦うエレナの姿を見る。


(俺にとって本当の仲間は狂歌達だけだろ。あいつは褒めれば何でもする都合のいい存在なんだよ。)


「.......」


 傷つき、ボロボロになっていた。


(大体この戦いが終われば、あいつは用済みなんだ。孤独だった奴が、俺に依存しているだけなんだ。違うのか?)


「.........」


(目を覚ませ、お前にとってあいつは-)


「黙れ。」


(.............)


 心の中で冷静に話しかけてくる自分を黙らせる。【並列思考】のせいだ。


 同時に違う物事を考えるせいでこうなってしまった。




 ★☆★☆


 英玲奈エレナ視点



 パキパキ



「これでトドメ」


 獄炎龍、水撃龍、青雷龍、土砂龍、風斬龍、氷結龍、暗黒龍、光滅龍、毒滅龍、


 9種類の龍を作り出し、全てのオーラを魔法にのせる。これが私の最後の一撃。



 パキパキ



「喰らい尽くせ『九頭龍』」


「僕が勝つ!『不死鳥之斬撃フェニックス グラービング』」


 巨大なスライムと不死鳥の、互いの大技が衝突し合う。


 それでも私は負けない。


「ここで私が勝つ!」


「な、なに!?」


 覇気を更に使うことで押し勝ち、朱雀に直撃させることが出来た。


「ぐああああああああああああ」


 それぞれの龍が朱雀を蹂躙し、命を奪う。


 身体中が千切れ、朱雀は死んでいた。その時ー



 パリィィィィン



 ヒビが入りすぎて魂の一部が欠けた。すぐに理解する。さっきの大技で無理をし過ぎたみたい。


 命削をすぐに中断するけど、身体中から物凄い痛みが走ってくる。


「これが.....代償.....」


 今まで味わったことのない痛みに、あまり声が出てこない。


 魔力を使い過ぎて


 人型に戻り、片膝をついてしまう。


「マスター。倒したよ私。」


 後ろを振り向いてマスタに言おうとするけど、


 マスターが。不思議に思っていると


「危ない危ない。流石に僕も今は死んだかなって思ったよ。」


 後ろを振り返ると朱雀が生き返っていた。それも人型に変形している。


 だった。私と同じで魔力の使い過ぎで身体が維持できなくなったのかな.....


「な....なんで?」


「なんでってそりゃー。僕の魔力の方が多いからさ。、1回程度なら自前で復活出来るんだよね。」


「うそ....」


「まぁ、おかげで魔力が1割程度しか残って無いんだけどね。」


 何でもないかのように話す朱雀。流石に全快はしていなかった。


「よくもやってくれたね。死ね」


 朱雀に吹き飛ばされた。


「さようなら。『爆炎鳥』」


 私は死を予感した。これで死んじゃうんだろうな。燃え盛る鳥がこちらに向かってくる。


 マスター最後に......


 ズドーーーーン


 大爆発が起きた。




 ★☆★☆


 朱雀視点


「全く。ようやく1人くたばったね。」


 少年は、ため息を吐きながらやれやれとでも言いたげな表情を見せる。


「もう魔力があまり残ってないんだけどな。」


 魔法が直撃した場所を見る。煙が晴れるとそこには


「な、なんだその姿は。」


 黒い全身鎧を纏った騎士がいたのだった。

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