80話 最終決戦

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 ★☆★☆ 


 黒狼から人型になって休憩していると、エレナの最後の一撃で朱雀を倒したのが見えた。


 ようやく、くたばったか?なんて考えていたのも束の間。


 朱雀はいつの間にか復活し、人型となってエレナに攻撃をしようとしていた。


(電撃加速ライトニング アクセル・改)


 黒い雷を纏って全力で疾走した。


 加速された時の中で思い出す。あの時の光景を。獅子王に殺されていった狂歌達を。


 最初、エレナは利用できるだけの奴だと思っていた。いつかは用済みになると。


 大事な仲間だと言っておけば喜ぶチョロい奴だと思ってた。さっきの自問自答と、エレナが殺される瞬間になって気付いた。


 いつの間にか、自分にとって大切な存在となっていたことに。大事な仲間だったと言う事に。


「もう二度と仲間は失わない!」


 だから全力で走った。守る為に。もう二度と仲間を失わないために。


「【神装】発動!」


 今まで封印してきた能力を使う。ここで使わなければ意味が無い!


「間に合え!」


 全力でエレナを守る為に走った。




 ★☆★☆


「な、なんだその姿は」


 朱雀から焦った声が聞こえる。どうやら動揺しているようだ。


「ま、マスター?」


 エレナが閉じていた目を覚ます。


「良かった。無事か。」


 軽い傷を負ってはいるが、どうやら無事だったようだ。一安心する。


「ま、マスター///」


 力いっぱい抱きしめる。今度は仲間を守れたんだ。良かった。それを実感する。


「待ってろ。すぐに終わらせる。」


「うん待ってるから。頑張ってマスター。」




 ★☆★☆


 すぐにその場から離れた。朱雀が魔力を練っているからだ。


「【傲慢】全力解放!」


 朱雀に接近し、刀を生成する。懐かしい感触だ。そして、【傲慢】による効果でこちらが多少有利となる。


「『獄炎羽』」


武御雷神タケミカヅチ・舞武」


 燃え盛る羽を、銃弾のように連続で飛ばしてくる少年。黒い雷を纏わせた刀で、それを全て切り伏せる。


「なに!?」


天之闇戸神アマノメクラド・十字斬」


 刀に闇魔法を纏わせ、斬りつける。


「がああああああ」


 すかさず攻撃をしようとすると


「『獄炎壁』」


 燃え盛る炎によって邪魔された。


「こうなったら.....使いたくなかったけど【覇気-命削】全力解放!」


 魔法を切り裂くと、そこには赤く輝くオーラを纏い始める少年がいた。


 負わせた傷は既に治っている。


「【覇気-命削】全力解放!」


 だからこちらも同じことをした。青黒いオーラを全身に纏って迎い入れる。


 生命力を変換し続けると魂にヒビが入っていくが、どうだっていい。今は目の前の敵に集中だ。


「しつこいんだよ!『不死鳥之爆撃フェニックス バースト』」


 魔法に覇気を纏わせて、至近距離で大爆発を起こしてきた。


「風上払い・烈風」


 風を纏わせた斬撃で、爆炎を切り裂き、攻撃を回避する。



 パキ



「だったら。『獄炎爆裂衝撃波』」


朧月夜オボロツクヨ返し」


 少年の片腕に纏わせた爆炎を、刀で反射して返す。


 ドッカァァァァーン


「ぶはッ!」


 衝撃で吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。何度もバウンドするがすぐに受け身を取って立て直す少年。顔には嘘だろと、驚愕の表情を貼り付けていた。



 パキパキ



「ここでお前を倒さないと僕は生き残れない。だったら【限界突破ァァァァ】」


 少年は、物凄い魔力を溢れさせながら、


「【覇気-命削】暴走解放!」


 更に赤く光り輝く膨大なオーラを纏い始めた。


「寿命をドンドン削られていくけど、ここで死ぬよりかはマシだからね。」


 不敵に笑う少年。否、朱雀。



【捕食】や【強欲】の全力解放をしたいが、もう使えない。使からだ。



「【限界突破】【覇気-命削】暴走解放!」


 だから俺も同じように解放させた。



 パキパキパキ



 魂にどんどんヒビが、亀裂が入っていく。解放させたせいで、更に加速していく。


「マスターそれ以上は駄目!本当に死んじゃうよ!」


 遠くでエレナの心配した声が聞こえる。一瞬だけエレナの方を振り向く。


『安心しろ。次で終わらせるから』


『マスター。』


【念話】で会話する。



 パキパキパキパキ



「僕が最強なんだぁぁぁぁぁ」


 少年は片腕に光輝く炎を纏わせ殴りかかってきた。


(【龍眼】【魔眼】全力解放!)


 数秒先の未来を見通し、筋肉を透視して体の動きを見る。


 両目を光らせつつ、最強の一撃を繰り出した。


「『不死鳥之血フェニックス ブラッドォォォ』」


鳴黒雷ナルクロイカヅチ


 赤い炎の拳と黒い雷の斬撃が衝突する。


「うぉおおおおおおおおおおお」


「はぁあああああああああああ」


 それぞれお互いに全力を出していく。バチバチと魔力がほとばしり合う。


 その瞬間


 刀がぶっ壊れた。破片となって周囲に飛び散る。


「とったぁぁぁぁぁぁ」


 目の前に迫りくる拳。顔を狂気に歪ませる朱雀。


 しかし、予想通りだ。未来視で分かりきっていた。


 だから、すぐさま斜め後方に回避して魔刀を生成した。


 回避する際に頭部の鎧が砕けだが問題はない。


「なにぃぃぃぃぃぃ」


八十禍津日神ヤソマガツヒ


 朱雀の身体中全てを、呪詛魔法で切り裂いた。


 驚愕の表情をして倒れていく少年。ついに朱雀を倒した。



 パリィィィィン



 何かが割れる音が聞こえる。これが魂の欠けた音だろうか。


 その瞬間絶大な痛みが身体中を襲った。


「がぁぁぁぁぁぁぁぁ」


【痛覚遮断】の能力を持っているのにも関わらず、痛みを感じる。


 これが代償なのだろう。寿命をいくら持っていかれたのだろうか。


 今回の戦いはギリギリだった。もう少し戦闘が長引いていたら魂が確実に壊れていただろう。



 シュウウウウウ



 思考していると、空間に亀裂が入っている事に気が付いた。


(マズい!吸い込まれる。)


 異空間に吸い込まれていく。刀を地面に突き刺し、その場で踏ん張る。


「なんで空間に亀裂が.....」


「ははは。どうやら僕達の戦闘の影響で、亀裂が入ってしまったようだね。」


 地面に倒れ、微かながらも朱雀は息をしていた。


 不敵な笑みを浮かべている。だが、もうじき死ぬだろう。


 朱雀は、少しずつ異空間に吸い込まれていた。


 出口は見えない。もう既に閉じてしまっているのだろう。このまま吸い込まれれば確実に終わる。


「悪いけど、『狭間の空間』は初体験なんだ。付き合ってくれよ。」


 狂気を顔に張り付けて笑ったかと思うと


 吸い込まれる直前、朱雀は俺の足を掴んできた。


「しま」


「マスター!」


 遠くでエレナがこっちに来るが、間に合わない。


 踏ん張ろうにも立っているだけで、もう既に限界だ。


 抵抗虚しく


「悪い.....」


 そのまま朱雀もろとも異空間に吸い込まれる事になるのだった。

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