34話 獅子王と隻眼竜

 サラとキスしただけでは済まず一線を越えてしまったシンジ。


 その後またもや嫉妬した狂歌に説教されるのであった。




 ★☆★☆


 一方魔王城では


 玉座の間の扉を叩く蛇の魔物がいた。


「ほ、報告にキました。し、しつレイします。陛下。」


「ノックなんざいらねーよ。とっとと入りやがれ!」


「は、ハイ。」


 魔王に叱咤されビクビクしながら玉座の間に入ってくる上級の魔物。


「で?人間界はまだ落ちねーのかよ。」


 玉座に座り不機嫌そうに聞いてくる王。またの名を獅子王。


「ハイ。そ、それガ幹部と未だ連絡ガトレません。今日送ったブンの援軍モやられました。」


 ビクビクしながらも正直に答える蛇の魔物。


「なんだと?やはり雑魚は使えんな!『操糸』『呪詛』『擬態』は一体何を人間相手にてこずっているんだ。あんな下等生物すぐに滅ぼせるはずだろうが!」


 報告に不機嫌になり、玉座を叩く獅子王。少しヒビが入ってしまう。


「もういい。『憤怒のダルファー』を今すぐ呼んで来い!黄金世代のあいつなら実力は確かだ。」


 そう言うと蛇はそそくさと玉座の間から出て行ってしまう。


 怒っている獅子王の機嫌をこれ以上損ねないようにするためだ。


「やはりあの新入り幹部共も所詮は雑魚だったということだな。全く情けない。」


 そう独り言ちる獅子王。


 すると扉が開いた。


「我を呼んだか?ゴルダック。」


 玉座の間にズカズカと遠慮もなく入ってくる二足歩行の隻眼竜。


 蛇がすぐに呼んできたようだ。


 ダルファーの体長は3メートルほどだ。


「待っていたぞダルファー。」


「要件は人間界の侵略についてか?」


「ああ。そうだ。」


 あらかじめ予想はしていたのか、玉座の間に入り、質問する竜。


「やはり新入りの3幹部は使えん!ダルファーが行ってきてとっとと終わらせろ。」


「どうやら人間相手に新入り共はてこずっているようだな。所詮は雑魚か。」


 ため息を漏らす竜。


「ああそうだ。『なりかけ』から進化したから『四天王』に入れてやったが、『闘気』すら使えんとはな!あの使えていたんだぞ!まったく情けない。」


「我ら黄金世代は特別だったということだ。全員が闘気を使えていたこと自体が異常であっただろうな。まぁ雑魚には変わらんか。」


 四天王の3人を雑魚呼ばわりする2人。


「まぁいい。分かった。我が人間界を侵略してこよう。ただし、時間はかかるやもしれん。広さにもよるからな。」


「ああ。任せる。」


 そう言ってダルファーは玉座の間を後にしたのだった。




 ★☆★☆


「なぁ。機嫌直してくれよ狂歌。」


「ふん。もう知りません。」


 現在部屋で狂歌の機嫌を取っている最中だ。


「なぁ悪かったって。隠れてそういうことしてたのは謝るからよ。」


「ふん。」


(困ったな。俺が悪いのは分かってるけど。どうやったら機嫌良くしてくれるんだ?)


 狂歌が初めて見せる態度に戸惑うシンジ。


「埋め合わせするから。な?頼む許してくれ。」


「ふん。」


(やばいぞ。マジで機嫌直してくれないと。このままだとマジで刺されるぞ。)


「明日デートしよ?な?いいだろ?」


 後ろから狂歌を抱きしめ耳元で囁く。これしか方法が思いつかなかった。


「ふ、ふん。」


(お?ちょっと嬉しそうだ。これならいける!)


 勝機を見つけたシンジは積極的にせめた。


「なぁ。嫌なのか?俺は狂歌とデートしたいけどな。」


「ふ、ふん。そんなこと言ったって騙されないわよ。」


 顔を赤く染めながらそれでも拒む狂歌。


「やはりダメか。二人っきりでデートしたかったのになー。駄目かー。行きたかったのになー。」


 落ち込んだ様子でシュンとする演技をする。


「悪い。今のわすれt-」


 今の忘れてくれと言いながら狂歌の部屋を出ようとするが


「分かったわよ。明日行きましょう。」


 狂歌が声をかぶせてきてドアの前に立ちはだかった。


(作戦通り。って俺いつの間にかクズ男思考になってないか?)


 そう思うシンジであった。

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