29話 援軍要請

 ニュース番組を見ていると携帯に電話がかかってきた。


「ヒーロー協会からか。」


 電話番号を見てすぐに察した。


 電話に出ると


「く、黒騎士殿。」


「なんだ?」


 電話越しから相手が緊張していることは明白だった。


 とりあえず返事をする。


「あ、アメリカのミッドタウンに、2体の強力な魔物が現れました!50人のヒーローを向かわせましたが、成す術もなくあっという間にやられてしまいました!中にはS級2名とA級10名いたんです。」


「知ってるぞ。ニュース見てたからな。」


 電話越しでも分かる。相当焦っているようだ。


「で、ではお願いします。2体の討伐して頂けないでしょうか。勿論報酬も出します。お願いします。」


 自分たちでは勝てないと判断したのだろう。必死に懇願してくる。


 断る理由もないので「分かった。」とだけ告げた。


「で、ではお願いです。今すぐヒーロー協会東京支部に来ては頂けませんか?現地まで転送しますので。」


「了解。」


 そう言って俺は通話を消した。


 リビングにいる3人に行くぞとだけ告げ家を出た。


 全員変身せずに


電流加速ライトニング アクセル


血流加速ブラッディー アクセル


暗黒加速シャドウ アクセル


火炎加速フレイム アクセル


 全速力でヒーロー協会に向かうのだった




 ★☆★☆


 すぐにヒーロー協会についた。


 ビルの中に入ると、職員たちが緊張しているのが分かった。


(別に殺したりしないのによ。)


 そう思ったが畏怖するのは当たり前かと納得する。


 自分たちが勝てない相手を俺ら魔人組は倒すことが出来るのだ。


 今は味方だからいいが、敵に回ると不味いと察しているのだろう。


 中で待っていると、神崎兄妹が出迎えてくれた。


。待っていたぞ。」


「よぉ。久しぶりだな。」


 大和とは互いに名前で呼びあう仲だ。


 触手野郎を倒したあと、俺の家に来てわざわざお礼を言いに来た。


 律儀な奴だと思った。


 こいつは馬鹿だが、いい奴だ。いや純粋なだけか?


 魔物が出現する際に、出現情報を教えてくれたりする内に仲良くなった。


「相変わらずいい筋肉してるな。大和。」


「そ、そうか?そうだろう。がははははは。」


「笑い声うっさいのよあんた。」


「痛てっ。」


 筋肉を褒められて喜ぶ大和。


 笑い声がうるさかったのか、静香に頭を殴られていた。


「ご、ごほん。待たせて悪いなこっちだ。」


 今のやり取りを無かったことにしようとしたのだろう。


 わざとらしく咳払いをした大和は案内を始める。


 エレベーターに乗り、地下10階に案内される。


「ずいぶん下に行くんだな。」


「ええ。転送装置が万が一壊れた場合や悪用された時の場合を考えて、地下に設置されるようになってるのよ。」


 静香が疑問に答えてくれた。


「なるほどな。」


 ちなみに女性陣はヒーローとなれ合う気がないのか一切言葉を発しない。


(いや。怖いんだけど。誰か喋ってくれよ。)


 そう思ってるとエレベーターが開いた。


 開くと、そこには巨大な機械の装置と、科学者たちがいた。


「これが転送装置か。」


 驚き声を発する。


(まさか、そんな物まであったとはな。)


 エレベーターから出る。


「こ、こちらです。黒騎士殿。」


 緊張しているのか若干声が上ずっている科学者に案内される。


 俺たち4人は、転送装置の入り口前に立たされる。


 大和たちはこちらの様子を見守っている。


「で、ではいきます。」


 そう言うと科学者が離れた所からレバーを下した。


 ギュインと転送装置が機械音を発した。そして、数十秒後に渦のようなものが出来る。


「つ、繋がりました。い、急いで飛び込んでください!」


 そう言われたので、飛び込むことにした。凄く怖かったが何とかなったようだ。


 気が付くと、別の研究所のような所に転送されている。


「おぉ。やっと来てくださったか。」


 無事転送出来た事に、安堵の表情を漏らす中年の男性。ここの責任者だろうか?


「私の名前はジョン・トルズだ。宜しくな。黒騎士殿。」


 日本語でそう言うと、握手を求めてきたのだった。

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