第一章 復讐編
1話 朝
ブーン ブーン ブーン
「ふあー。もう朝か」
設定したスマホの目覚まし音で目が覚める。
【西暦2120年 5月10日 7:00】と表示されたスマホを見ながら、俺は直ぐに耳障りなアラーム音を消した。
「着替えないと」
偶々休みが重なり、10連休があったのは昨日まで。
「今日から学校かー」
非常に行きたくはないが、仕方ない。考えるだけで憂鬱な気分になるな。
だが、行かないと母にボコられるため、仕方なく支度を済ませていく。
「だるいなー。仮病で連休延長するか?」
「シンジ、起きなさーい。ご飯出来てるわよー」
「はーい」
母からの呼びかけに、邪な考えが一瞬で吹き飛ぶ。
「おはよー」
挨拶して席に着くと、いつものように目の前に朝食を出された。
ニュースを見ながらモリモリと食べていく。
最近は魔物による被害が多発しているようだ。それに伴いヒーローと呼ばれる超人、異能を使う集団が対処に当たっている。
「物騒な世の中になったわねー」
そばに近づいてきた母は、ため息をつきながら言った。
「あれ? お父さんは? まだ寝てるの?」
「グレンなら、もう仕事に行ったわよ。最近仕事が忙しいみたいでね。今夜の結婚記念日のためにも早く仕事を終わらせて、
母は若干顔を赤くしながら嬉しそうに言ってきた。
まったく、仲のよろしいことで。
年を重ねても未だにラブラブな両親に呆れつつ、俺は朝食を済ませることにした。
俺の両親は、大学時代に出会ったそうだ。父であるグレン・フィードは異文化を学ぶために、日本へ留学しに来た。そこで、運命の出会いがあった。なんと、母である
人生で初めて一目惚れをしたグレンは善は急げとばかりに、時雨に猛アタックをした。しかし、すべて玉砕した。理由は簡単だった。父の女好きが原因だったのだ。
イケメンなルックスと、珍しい青い目で沢山の女性を虜にしてきた父は当然モテていた。しかし、母は一途に思ってくれる人がタイプだったようで、正反対の父は対象外だったようだ。諦めきれなかった父は、女遊びを辞め、女性と関係を断つことにした。自分の誠意を見せたのだ。
そして、何回もアタックしていく内に母は根負けし、付き合うことにした。最初は仕方なく付き合っていた。しかし、一緒に過ごしていく内に母も彼を好きになったようで、あっという間に月日は流れ留学期間は終わった。
父はアメリカに帰り、母との関係はそこで終わってしまったと思われていた。しかし、グレンは時雨への気持ちを忘れることができず、日本に移住することを決意したのである。そしてグレンは大学卒業後に婿入りし、二人は国際結婚をした。そして二人との間に俺こと、
朝食を食べ終わり、席を立つ。
「あれ? シンジまた身長伸びた?」
「んー。最近測ったら180センチちょいだった」
そう言って母が俺の前に立つと、自分の頭に手をのせて、俺との身長差を測ってきた。
「段々あの人に似てきたわね。うふふ。グレンに似てモテるんだから、あんたも早く彼女でも作りなさいよ。ついでに子供も!」
さらっと爆弾発言を言う母。
「おい!最後のはマズいだろ。何考えてんだあんた」
「だって。早く孫の顔が見たいんだもの!ところで本命はだれなの?幼馴染の狂歌ちゃん?それとも、美香ちゃん?子育てするならお金に困ってないから安心してね」
「いやいやいや本命とか無いから。てか、息子になんてこと言ってんだ!普通の母親は逆のことを言うだろ!ていうか、そんなに欲しいならお父さんとすればいいだろ?」
「実はね。もう出来てるの!きゃやあああああ!言っちゃったわ。今夜お父さんに報告するから内緒ね」
両手で顔を隠しながら嬉しそうに「きゃあああ」と言ってくる母。
え…ま…まじで? な…仲のよろしいことで…
更なる爆弾発言に今度は絶句してしまった。
驚き固まっていたが、時計を確認するともう8時だ。
マズい!急がないと!
直ぐに支度してカバンを背負い、俺は玄関に向かった。
「今日はいいけど、明日からしばらく間は鍛錬は自分1人でやってね」
「分かってるよ。じゃあ行ってきます」
「はいはい。行ってらっしゃーい。今日はできるだけ早く帰ってね~」
「分かった分かった」
母に見送られ、俺は家を出たのだった。
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