始まり

「うーん...今6時半位か」

寝室の窓から突き刺すように朝日が射している。

寝起きの体を起こしてリビングに向かう。

「おはよう、父さん母さん」

「おう、おはよう。」

「蓮、今日から2学期でしょ?早くご飯食べて支度しなさいよ」

「うん、分かってるよ母さん」

「朝ごはん食べるわよ」


もぐもぐ

父が思い出したように語り出す。

「あぁそうだ、蓮。最近月人の活動が活発的になってるんだ。日本にはまだ来てないと思うが知ってる通りアメリカ等の外国にはすでに侵攻してきてる。日本に来るとしたら首都の東京が始めに狙われるかもな。夏休み明けだからってボッーとするなよ。」お調子者の父さんも最近は噂の月人が活発になってきて仕事で大忙しだ。

「また月人の話?まぁ仕事柄仕方ないわねぇ」母は朝から少し機嫌が悪いようだ。昨日遅くまで本読んでたから寝不足かな。

「うん分かってるよ。でも月人って人間みたいな姿をしてるんでしょ?どうやって判別するの?」

「判別方法はあるが少々厄介なんだなこれが。まず」

「はいはい、朝から月人の話なんて嫌になっちゃうわよ。あなたも仕事が忙しいんだからちゃんと気を付けるのよ。」母が割って入る。


「ごちそうさま」

僕はサッと食べ終わって学校に行く準備をする。夏休みの宿題を持っていくのを忘れないように確認して。

ガチャンと玄関の方で音が聞こえた。

「行ってくる」

「行ってらっしゃい。」

父は先に仕事へ行ったようだ。

僕も学校に行かないとね。


「行ってきます。」

「はい、行ってらっしゃい。」

玄関を開ける。秋が近づいて来るのが分かる。涼しい風が吹いている。


学校までは徒歩で行ける距離だ。5分位で着くから大変楽で助かる。


「おっ佐藤じゃん。」

「久しぶり。水島君、元気にしてた?ってかいつも通り元気か」

クラスメイトの水島君は自転車で学校に来ている。自転車で30分位かかる所に住んでいていつも登校は一緒だ。

「ちょっと眠いなぁ。昨日宿題徹夜でしたからな。」

「ちゃんと計画的にしないとそうやって最後にのしかかって来るから。これでも水島君は懲りなさそうだけどね」

「そらそうよ。やっぱり楽しんだ者勝ちよ。」


2人で喋りながら校門を通り過ぎていく。

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「おいっ、水島君起きろよ」肩をゆさゆさする。

「うぅ。始業式位寝てもいいだろ。ゆっくり寝させろよな。」

「先生に注意されるより僕に注意された方がいくらかマシでしょ?さあ、あとは生徒会の話で終わりだから起きておいてよ。」

「わぁったよ。はぁ、家に帰ってぐっすり寝たいな。」


「これにて東京都立第三高校の始業式を終わります。全員起立!礼。」

「ありがとうございました。」


「今日は眠たいから早く帰るよ。」

「明日から授業あるからしっかりね。」

「おうよ。さいなら。」

「ばいばい」


こうして二学期初めての登校日は終わった。

いつも通り、いつもの友達との変わらぬ日々。

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