第84話
なんで同じ年なのにこうも子供っぽいのかね、俺の隣の後輩は……。
まもなくして店員さんが注文しら料理を持って席にやって来た。
「ん? お前の和風スパゲティー美味そうだな一口くれ」
「良いですよ。あ、じゃあ先輩の海鮮丼下さい」
「これか? まぁ良いだろう交換ってことなら俺も異論はない」
なんでだろうな、人の食べている物はなんだか自分の食べ物よりもおいしそうに見えてしまう。
俺は初白と料理を交換しスパゲッティーを一口食べる。
「お、美味いなこれ、俺も今度これにしよ」
「海鮮丼も美味しいですねぇ~じゃあお返しします」
「あぁ……っておい」
「え?」
「なんで海鮮丼の刺身の部分だけ食ってんだよ! もうエビ一匹分しか残ってねーだろうが!!」
「まぁまぁ、細かいことは気にしないで~」
「気にすんだろうが! 全然一口じゃねーし」
「マグロが一番美味しかったです」
「俺は一口も食ってねぇんだよ!! お前のスパゲッティーもっとよこせ!!」
「え? もう食べちゃいましたよ?」
「はやっ! はぁ……全く可愛くねーなお前」
「先輩眼科行った方が良いですよ? 目が腐ってます」
「お前も脳神経外科に行ってこい、そのアホが治るかもしれない」
「先輩喧嘩売ってます?」
「先に売ったお前から俺が買ったんだよ」
睨み合う俺と初白。
そんな俺と初白の様子を高弥はニヤニヤしながら見ていた。
*
「ふふ、あの二人は本当に仲がいいだろ?」
僕はとなりで不安そうに前の座席の二人を見る城崎さんに向かってそう言った。
「え? あ、はい……そう……ですね」
「ふふふ、君もうかうかしてると平斗を誰かに取られちゃうよ?」
「わ、私は島並さんに……そ、そんな感情は持ってません……」
「ふーん……まぁなんでもいいけど、僕で良ければいつでも協力するよ」
こんな事を言うと初白さんには悪いのかもしれない。
でも、この子も平斗が面倒を見るくらいの良い子なのだろう。
出来れば親友としては早くどっちかとくっ付いてほしいものだけど。
「あ、あの……じゃあ一つ聞いても良いですか?」
「なにかな?」
「島並さんって……昔何かあったんですか?」
「………」
まさかこの子も知らないなんてな……同じような質問をこの前目の前に座っている女の子にもされたっけな。
「それは君が平斗から直接聞くことをオススメするよ」
「え? どうしてですか?」
「それは、その話が平斗にとって少し複雑だからだよ」
僕は彼女にそう言い、ハンバーグを切って口の中に入れた。
「平斗、ご飯だけじゃ味気ないだろ? 僕のハンバーグ一切れたべないかい?」
「え? 良いのか高弥!?」
「あぁ、丁度僕もこれは食べきれないと思っていたからね」
「サンキュー! これで飯が進むよ」
僕は平斗にそう言ってハンバーグを一切れ分けた。
「良かったですね先輩」
「お・ま・え・の・せ・い・だ!」
「イテテ!! イタイ! イタイですぅ~」
平斗は初白さんの言葉に腹を立てて、初白さんのこめかみをぐりぐりしていた。
そんな事が出来る関係性って、仲が良い以外になんていうのかな?
僕はそんな二人を見ながら、隣の城崎さんの方に視線を移す。
こちらはなんだか複雑そうな顔だ。
きっと、まだ自分の気持ちに気が付いていないんだろうな。
でも、その気持ちに気が付いた時、この子はどうするんだろうか……。
*
「んじゃ、俺は城崎さんを送っていくから」
「あぁわかったよ、僕も初白さんを送っていくから」
「先輩、夜道で二人だからってその子に変な事しちゃだめですよ?」
「するかアホ」
ファミレスでの食事を終えた後、俺たちは二手に分かれて帰路についていた。
城崎さんは途中からあまり話さなくなったけど、やっぱり少し気まずかったかな?
高弥とは少し話てたみたいだけど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます