どうやら俺にモテ期が来たらしい
第58話
*
「色々大変だったんじゃないの?」
「ん? いや……正直道場の門下生以下だったよ」
俺は病院で初白を見送った後、高弥と話しをしながら家路についていた。
「にしても、最近の大学生ってやつは飛んでもねぇな……普通に犯罪だぞ」
「まぁね……正直僕も平斗が居なかったら、普通に通報してるよ」
「じゃあ、そうしろよ」
「平斗が行くって言ったからね、絶対解決して帰って来ると思ったよ」
「………それはどうも」
「それより、捕まってた一年生達は大丈夫だったの?」
「まぁな……あいつらもあの大学生とは面識が合ったみたいで、今日も普通に遊びに誘われただけだと思ったらしい」
「まぁ、高校生からしたら大学生は魅力的だからね、男子も女子も」
「付き合う相手をあいつらは間違えたな……」
「それで、大学生の方々はどうしたんだい?」
「とりあえず、リーダーが失禁して気絶したから、そのまま置いてきた」
「うわっ……今度は何をしたの?」
「別に……ただちょっとお話しただけだ」
「お話ねぇ……普通にお話しただけじゃ、失禁なんてしないと思うけど?」
「まぁ、後輩いじめた罰だな」
「そうかい……疲れただろ? 何か食べて帰るかい?」
「高弥の奢りか?」
「なんでそうなるんだよ」
「実は今月金欠でな……」
「仕方ないなぁ……貸すだけなら良いよ」
「よし! じゃあ、行くか!」
「はいはい」
俺たちはそのままラーメンやに直行した。
*
翌日、学校に向かった俺は初白に呼び出されていた。
「先輩、昨日はどうもうお世話になりました……」
「ん? なんだ改まって……やっぱりどっか悪いのか?」
「どう言う意味ですか……いや……昨日電話で真木先輩に聞いたので……」
「あぁ……高弥か……」
「ありがとうございます、正直覚えて無いけど、助かりました」
「…………」
「どうしたんですか?」
「いや、なんかお前にそうやってちゃんとお礼を言われると違和感が凄いなって……」
「どう言う意味ですか?」
「まぁ、気にするな」
「まったく……人が折角お礼を言ってるのに……」
「まぁ、それはお前の日頃の行いが悪いからだ、自業自得だな」
「なんかお礼言っておいてなんですけど、凄いムカつく……」
初白からお礼を言われ、なんだか背中がむず痒い感じがする。
こいつがこんなにちゃんとお礼を言うとはな……。
「もう大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで……それに……香奈達も謝ってくれたので……」
「そうか……これからちゃんと仲良くやれよ」
「……気がついてたんですか? 私が香奈達に嫌がらせされてること……」
「まぁ……多少はな……高弥も気がついて心配してたからな」
「そうですか……でも……あの……今回は一応本当に感謝してるんで……」
「おいおい、間違って俺に惚れるなよ」
「あ、それは絶対無いので安心して下さい、私先輩を恋愛対象としては見れない……というか見たくないので」
「自分で言っておいてなんだけど、そこまでハッキリ言わなくてもよくね?」
やっぱりこいつはこう言う奴だよな……。
初白がそう言った後、すぐにチャイムが鳴り、俺と初白はそれぞれの教室に戻った。
これにて一件落着!
そう思った矢先に、またしても面倒な出来事が俺の身に起こった。
*
「どうした? 俺をこんなとこに呼び出して」
放課後の事だった、俺はいつも通り高弥と一緒に帰ろうとしていたのだが、校門前でとある人物に捕まり、校舎裏に来ていた。
ちなみに高弥は校門前で待っている。
あいつめ……。
「怪我は大丈夫か? 大島」
「はい……あと、やっと名前覚えたんっすね」
俺を呼び出したの一年の大島だった。
顔や腕には昨日の喧嘩の傷跡が残っているが、元気そうだった。
一体何の用で俺を呼び出したのかは分からないが、少し違和感を感じたのは、俺に対してちゃんと敬語を使っていることだ。
いや、年下だしそれは普通のことなんだけども……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます