第49話
*
島並先輩がトイレに行ってから十五分ほどが経った。
まったく、それどれだけ私を待たせるんだろう。
そろそろお腹も減ってきたっていうのに!
私はそんな事を考えながら、ベンチに座って先輩を待っていた。
流れで一緒に買い物に来たけど、以外と悪くない。
なんか、島並先輩とだと気を遣う必要も無いし楽だ。
真木先輩と一緒だと緊張して、少し疲れたからだろうか、今日はなんだか気が楽だ。
「ご飯は何を奢って貰おうかなぁ~」
私がそんな事を呟きながら、スマホで周辺の飲食店を調べていた。
なんだかんだで先輩は付き合い良いし、もしかしたら奢ってくれるかも。
私がそんな事を考えて居ると、先輩は誰かを連れて私の元に帰ってきた。
「お待たせ」
「もう、先輩どれだけ私……を?」
「あはは……や、やぁ……」
私は思わず、先輩が連れてきた人を見て固まってしまった。
先輩が連れてきたのは突然今日来れなくなってしまった、真木先輩だったからだ。
「え!? ま、真木先輩!? ど、どうして?」
「あ……いや……これはその……」
「なんか用事が終わったから、合流するらしいぞ、ついでに飯を奢ってくれるらしい」
「そうなんですか?」
「へ、平斗! 勘弁してくれよ! 僕だって今月は金欠で……」
「じゃあ、なんでお前があんなところに居たのか、説明してくれるのか?」
「うっ……はぁ……分かったよ、誘ったのは僕だしね」
「よぉーし、初白。とびきり高い店で奢って貰おうぜぇ~」
「え? あ……良いんですか?」
「おい平斗! 少しは僕のお財布事情も考えてくれよ!」
そう言って、島並先輩は先に進見始めた。
なんで真木先輩が来たのかは良くわから無いが、島並先輩は本当に真木先輩が絡むと役に立つ。
先輩ナイス!
私は心の中でガッツポーズをし、二人の後を追いかけた。
*
「ふー食った食った……」
「僕のお金だからって遠慮無く食べ過ぎじゃない?」
「人の奢りで食べる物程、美味い物は無いからな」
俺と高弥、そして初白の三人は昼食を食べ、三人で街中をブラブラしていた。
大方、高弥は何か勘違いをして、俺と初白をくっつけようとしていたのだろうな。
それを考えると、多分だが高弥は初白に恋愛感情を持ってはいないな。
だが、それならどうしてあいつは初白に興味を持ってるんだ?
まさかと思うが、俺があのアホに好意を抱いてるとか勘違いしてないよな?
「初白さん、色々買い物したんだね」
「は、はい! ほ、欲しい物結構あって……」
後ろでは高弥と初白が話しをしていた。
この様子なら俺は完全に邪魔だろうし、このままさり気なく帰ろうかな?
「平斗、次はどこに行くんだい?」
「あぁ……そうだな……俺はそろそろ帰ろ……」
「どこに行く? 平斗?」
「うっ……」
なんだか強い口調でそう行ってくる高弥。
恐らく俺が帰ろうとしているのを察したのだろうな。
「はぁ……じゃあ三人でボーリングでも行くか?」
「いいね! 初白さんも来るよね?」
「はい! 是非!」
仕方ない、元々遊ぶ予定だったし、付き合うか……。
しっかし、さっきから思っていたが、高弥ってやっぱりモテるんだな……。
すれ違う女性が全員振り返ってるよ。
男は男で、初白をメッチャ見てるし。
美男美女に挟まれるのも苦労するな。
まぁ、でもそれは昔からか……。
「ふふふ……」
「ん? どうしたの平斗?」
「いや……昨日のお前と一緒だ、昔を思い出した……」
「あぁ……そっか……昔もこんな感じの組み合わせで遊びに行ってたしね」
「まぁな……」
俺もまだ昔を引きずってるみたいだな……。 もう終わった話なのに……。
「平斗」
「……悪い、少しぼーっとしてた」
「……もう二年も経つんだね」
「そうだな……」
何の事かは言わなくても互いに分かっていた。
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