第38話
待ち合わせは、駅前のベンチ。
弁当まで作ってきてくれるなんて、少し悪いな……。
飲み物くらいは僕が奢らないと。
なんてことを考えながら、僕は駅前のベンチに急いだ。
集合時間の15分前くらいに到着したが、ベンチには初白さんはまだ居なかった。
「まだ来てないのか……まぁ、まだ15分もあるしな」
僕はベンチに座って、初白さんを待っていた。
それにしても、平斗から来た【死ぬなよ】というメッセージはどういう意味だろうか?
僕に今日一体何が起こるって言うんだ?
僕がそんな事を考えていると、遠くから初白さんが走って来るのが見えた。
「す、すいません、遅れちゃって……」
「いや、僕は少し早く来すぎただけだよ、時間通りだから安心して」
「は、はい……あ、ありがとうございます」
「じゃあ、さっそく行こうか、目的の公園が電車で20分くらいだからさ」
「結構大きい公園なんですか?」
「うん、まぁね。たまに行くんだけど、休みの日はファミリーとかカップルがいっぱい居るんだよ」
「カ、カップル……」
初白さんはなぜか、カップルというワードを聞いた瞬間、顔を赤く染めていた。
まぁ、第三者から見たら僕たちもカップルに見えるかもしれないし、初白さんもそれに気づいて、少し意識しちゃったのかな?
「あ、あの……真木先輩はその公園には毎回一人で行くんですか?」
「いや? たまに平斗と一緒に行くよ」
「っち……またあの人は………」
「え? 何か言った?」
「なんでもないです! じゃあ、さっそく行きますか!」
なんか一瞬初白さんが舌打ちした気がしたけど気のせいだろうか?
僕たちは改札を通って、駅のホームに向かい、電車を待っていた。
「初白さんの私服姿なんてなんだか新鮮だね、似合ってるよ」
「ほ、本当ですか!? あ、ありがとうございます……」
やっぱり女の子だな、オシャレには気を使いつつも動きやすい服装で来ている。
若干だけど、化粧もしてるのかな?
なんだかいつもよりも初白さんが少し大人っぽく見えた。
話をしている間に電車がやってきた。
僕たちは電車に乗って、目的の駅に向かう。
「真木先輩ってどんな写真を撮るんですか?」
「まぁ、風景写真が主かな? 人物の写真とかはあんまり撮らないんだ」
「へぇ~、でも以外でした、先輩が写真を撮るのが趣味なんて」
「あんまり趣味の事は他の人には離さないからね……平斗以外には話したことが無かったんだ」
「じゃ、じゃぁ……なんで私には話してくれたんですか?」
「それは初白さんと仲良くなりたかったからかな?」
「ふぇ!?」
僕がそう言うと、彼女はまたしても顔を真っ赤にして俯いてしまった。
あれ?
僕何か変な事を言ったかな?
「あ、あの……その……仲良くなりたいって言うのはその……どういう意味ですか?」
「え?」
顔を真っ赤にしたまま、彼女は僕に向かってそんな事を尋ねて来る。
どういう意味と言われても……そのままの意味なんだけどなぁ……。
「いや、そのままの意味だよ。平斗と仲が良いみたいだし、僕も初白さんと仲良くしたいなって思ってさ」
「あ、あぁ……な、なるほどぉ……そ、そうですよねぇ……」
僕がそう言うと彼女は寂しそうな表情で僕にそう言った。
喜んだり悲しんだり、一体今日の初白さんはどうしたのだろうか?
「うん、だから初白さんも僕にも平斗見たいな感じで接してくれて良いよ」
「え? 島並先輩みたいにですか?」
「うん、敬語とかじゃなくても全然良いよ、僕は気にしないから」
「で、でも……急には直せませんよ」
「少しづつで大丈夫だよ」
少しづつ彼女と距離を詰めて行こう。
そうすれば彼女の本性も少しづつわかって来るはずだ。
初白さんとそんな話をしている間に、僕たちは目的の駅に到着した。
到着した駅からバスで10分ほどの場所に目的の公園がある。
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