雨の踊り子

三風 風矢

第1話

 出会いっていうものは、いつの時代も突然に訪れるもので、その出会いから多くの関係が生まれる。恋仲だったり、友人だったり、ライバルだったり。その種類はいくらでもある。出会いは多いに越したことはないし、出会った分だけ人は成長し自分を高めることができるんだと思う。そんなことを、小学校の頃に嫌いだった教師が言っていた気がする。しかしこれは実際間違っていないと思うし、今でも覚えているということはそれなりに俺の中でも大切なことなのだろう。

 しかし、この世の中には「出会わなけりゃよかった!!」と思うような出会いがある。それは、自分の生活をかき乱したり、頭の大半をそのことで埋めたり、よくよく考えてみるとそこまで悪いものでもなかったり、なんだかんだその関係が好きだったり。そういうものだ。しかもそれは、遅刻しそうなときにパンくわえて走ってたら角でぶつかって恋に落ちたり、偶然体育倉庫に閉じ込められたりするようなロマンチックの権化みたいなことはなく、廊下で肩がぶつかったとか昼休みのトイレで隣になったみたいな、しょうもない事が原因だ。だから避けようがないし、避けようとすればするほど執念深く追い回してくる。だから諦めて自分の哀れな運命を受け入れざるを得ないのだ。運命という強大な力の前に小さな人間はなす術なく翻弄されるのも、時代に関係なく起こることなのだ。こんなことも、あまり好きでもなかった中学の教師が言っていたと思う。

 しかしまあ、これから語る出会いを迷惑に思ったことは、俺は一度もない。楽しいものとも魅力的なものとも言えないが、一番記憶に残り一生忘れないであろう出会いだった。その出会いとそれを取り巻く一連の出来事の前と後じゃ、俺の人生は全く違うものになったと胸を張って言える。

 あの日。彼女と出会ったことで、俺の中のなにかが、ゆっくり、そしてしっかり回り始めた。

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