第14話
「龍が出たらしいな、、、、」
怪しげな光が上から、注がれている。その部屋は、普通ではありえないほど大きい。
そこには、一つの大きな玉座、そして贅沢で、華やかだ
そこに座るのは、一人の男。しかし、人ではない。エルフでも、獣人でもない
人間に近い容姿だが、腰には尻尾が生えていた。
上から、下を見おろす。
「そのようです。しかも、二体も、、」
今度は膝をつき忠誠を誓っていると思われる二人の内一人の男が返事をした。その男もしっぽが生えている
見た目は、老人と言った感じだが、弱弱しい印象は無い。
「龍が二体も、、、それを倒したのは、人間のしかも無名の男らしいな、、」
「はい、突然現れたようで、、、」
「スターリア王国が、召喚した勇者ではないのだな?」
「未だ、召喚されたとは情報が入っていません。」
下からの目線を解き
玉座の上で、数秒の思考をするが、すぐに終わらせて再び見下ろした
「その龍が出た地域を、お前たちで見てこい。」
「分かりました。」
「了解しました」
老人の男と、その隣にいた男も返事を返した。男からもしっぽが生えていた。体格は、剛腕とも呼べる腕とそれと同じ位の足の筋肉。若い見た目の男だ
背には斧の様な物を背負っている。大きさは、成人一人ほど。刃の部分は鋭く軽く触ったくらいで、皮膚からは血が溢れそうだ
「その、龍を殺した。人間はいかがいたしましょうか?」
老人の男が聞いた。
「、、、殺せ。後に面倒な事になるかもしれん」
玉座の上で、男が呟いた。
「すまねぇな。坊主わざわざ足を運ばせて」
<剣の叩き>で椅子に座りながら、店主が告げた。
「いや、それはこちらだ。昨日わざわざ家に来てくれたようだからな。リリィから聞いた」
昨日自分が居ない間に、彼が訪ねて来たのは帰ってから知った。何か用があったようなのだが出直すと言い帰ったそうだ
「ああ、あの嬢ちゃんか。随分、別嬪者じゃなねぇか」
「それなりにな、、、」
「おっと、話がそれちまった。」
軽く笑いながら、話題を変えようとする。店主はマドウの目をまっすぐ見た。
「最近、妙な新人に好き勝手やられてるみたいだな。聞いたぜ。」
マドウは、あまり顔を崩さないが僅かに眉を潜めた。フッと店主は笑った
「随分、気にしてるようだな」
「そんな、、事は無い、、」
マドウは、否定するが店主には、分かるようだ。そのまま、笑いながら話を進める
「お前は、何故この村にとどまる?」
「、、何故か、、、」
何故と聞かれて、思わず返事に困る。特に今まで気にしたことなどない、ただSランク冒険者を目指して、それからはずっとただいらいをこなすだけ。
強さを表に出し続けただけ
「お前は、何処かで自分はそこまでの強さでは、無いと思っているんじゃないか?外に行けば通じない。だから、この村にとどまっている。」
「、、、」
自分では、それなりに強さを持っていると思っていたマドウだが、何処かにその気持ちは無くはなかった。
ただ、地道にSランクとなったため外にはもっととんでもないのが居るのでは、とこの村に居ようと無意識に思っていたのかもしれない
「何故、俺がお前に剣を打つか知ってるか?」
「分からん、、、」
「強いからだ。純粋にな。俺は長い事剣士を見てきたが、小目ほどの検視は見たことない」
2人の視線が交差する。そのまま、直ぐに店主は机の下から刀を一本だした。
そのまま、マドウに伸ばす。
「これは?」
「この前より、いい出来だ。材料も少し変えている」
マドウは、受け取り両手で持った。その後、鞘から刀身を出す。刀身から、光があふれ出した。
発光が部屋を包む。思わず目を閉じてしまいそうになるほどだ。
「それは、煌明鉄石で打った刀だ。もう見て分かったと思うが輝く特性を持っている。」
マドウは、鞘に刀身を戻す。先ほどの輝きが消え、今度はその輝きが消えたので部屋が僅かに暗く思えた。
「煌明鉄石は、は希少で殆ど出回ってないはずだが、、、しかも常に輝きを放つから加工するにも難しいと聞いたのだが、、、」
「そこは、気にするな。、、それはお前にやる。無論金は要らない。」
加工が難しいはずだが、彼には関係ないらしい。希少な鉄石を使っているはずだがそれも気にしなくていいらしい。よく見ると鞘に彼の名前が彫ってある
アグル、、と。
「流石に、この刀を費用なしと言うのは、、、」
「本当に大丈夫だ。それより、お前に今行って見てほしいところがる」
マドウは、刀を腰に掛ける。これで武器は三つ目だ。ここまで装備があるのは珍しいだろう
「何処だ、それは?、、」
「王都。スターリア王国にある、占いの館だ。」
王都。別名スターリア王国。
五王国の一つ、国の規模は大きく。騎士団が治安維持、貴族や、王族を守護をしている。
「なぜ、、、占いなんだ?」
「その、占いをやってる奴は俺の知り合いなんだが、今のお前には必要だ。気分転換、新たなる視点、新たな世界がな」
占いなんて、今までろくにやってこなかったマドウ。しかも、王都なんて数えるほどしか行ったことは無い
「お前の世界は狭い。もっと色んな物を見て、感じろ、自分の器をな、、」
「、、、、」
店主はそのまま、店の奥に入って行った。背を見ながらマドウのそこを後にする
「えっ?占いですか?」
リリィは腕立てをしているマドウの上で呟いた。いつもの如くサウナ部屋だ
「ああ、明日言ってい来る」
口を開きながらも腕立てを続行。自分でも何を言ってるんだという感情が出た
「意外ですね。占いなんて、、」
「偶には、気分転換もいいなと思っただけだ。」
「、、そうかもしれないですね」
悲壮な声がでてしまった。今では、評判は前ほど良くない、むしろ最近は、卑怯だという印象もついている
「、、だから、留守は頼んだ。」
「分かりました、、」
その後は、負荷をかけられたり、水を中々もらえなかったりといつも道理だった
次の日は、朝から身支度を整え王都に向かった。早朝なので、特に誰にも会わず村を出る
距離はかなりあるが、身体的な能力が高いのでマラソンする感覚ですぐにつくことが出来る
(前に行ったときは、もっと時間が掛かったと思ったのだが、、、思ったより近いな、、、)
この時、以上に気づいたものは誰も居なかった
本来、スタッツ村と王都の距離は普通の冒険者が全力で走っても、数時間はかかる
マドウは、僅か、
10分弱。
王都の敷地内に入り、ぐるぐると視線を動かす
(前来た時より、少し変わってるな。新しい店もある。占いの館ってかなり人気の所だったような、、、まあ、この時間ならすぐに占ってもらえるだろう)
人はほとんどいない。僅かに見えるが王都と言うには、少し心もとない
占い館の場所に向かう。大体の場所は覚えていたので、記憶をたどりながら進んでいく
(この角を、曲がったところだったよな?)
角を曲がり、愕然とした
(ええ?、もうこんなに並んでるの?)
占い館と思われるところには、既に百人近く並んでいた。
しかも、女性が多い
(ええ、、まあ、せっかく来たわけだし、、、)
マドウも列に並ぶ。前には、殆ど女子。占いは女性人気高いらしい。僅かに男も居るが、それは、カップル。
(、、何か、、これ俺、、変な奴に見られてね?)
前でも、女子たちがこっちを見ている。ここに一人男子は珍しいからだろう
かなり早い時間だが、長蛇の列。
(うわー、気まずい、、)
そこから、暫くすると館のドアが開き客が中に入って行く。
待っている間に、王都も活気があふれてきた。
出店や騎士の姿も見えた。
騎士団特有の白の服装。
(騎士団か、、、治安維持や様々に事を担っているエリート。騎士育成学院を卒業した者が多く配属してる、、だったか?、、学院か、、、行く必要はないけど、やっぱり一度は通いたいよな。)
騎士の姿を見ながら、何んとなきそんなことを思っていた。騎士はそのまま違うところに歩いて行く。
少しづつ、前から人が減っていく。あと少しで自分の場番になろうとした時
「ちょっと、離しなさいよ!」
何処からそんな声が聞こえてくる。目を向けると、チンピラ男が若い女の手を掴んでいた
「おいおい、いいだろ。今日は仕事休みでさ、付き合ってくれよ」
占い館の列の少し離れたところ、で繰り広げられる。テンプレ展開
(こんな公衆の面前で、良くナンパできるな。しかもまだ日が昇り切っていないぞ。早くないか?ナンパするの?)
女の子は、ピンクの髪をしてショートヘアー。スタイルはかなりいい美人だ。
「アンタなんかに、付き合ってる暇はないの!」
「少しだからよ。付き合えよ!」
周りでも、すこし、ざわつき始める。男はそれに気付いたようで
「なんだ?見てんじゃねえよ!」
そう言われると、全員目線を逸らす。男は再び、女の子ナンパをを掛ける
「なあ、少しだけでいいからよ。」
「私は、妹2人と待ち合わせてるの。これ以上しつこいと痛い目見るわよ!」
「ほお?それは、それは。怖いねえ」
男は余裕そうにしている。小馬鹿にするように下種な笑みだ
(これは、俺が行って解決すれば、かなりカッコいいんじゃないか?ベタだがこういう展開も嫌いじゃない、、よし、行こう。)
列から抜け出し、男に向って行く。コツコツと足跡を立てて、ゆっくり堂々とそれでいて背筋をしっかり伸ばし
無表情で。
チンピラ男もこちらに向かってくるのに気付いたようで
「ああ?なんだて、ブハああ」
次の瞬間には、男は顔面に蹴りを喰らっていた。しかし、蹴ったのはマドウではない
「あーあ。だから、言ったのに痛い目見るって。」
ナンパされていた。女の子が男に回し蹴りを喰らわせたのだ。
見事なもであった
男は、泡を吹いて気絶。
無事解決なのだが、周りでは
「あの子、ちょっとダサくない?w」
「しっ、聞こえるよw」
「せっかく止めようとしたのに、、、、ww」
「ちょっと、可愛いよねww」
「そうだね。すごい堂々と向かってのに、、こんな結末www可愛いねwww」
(いや、気まずいーー。しかも、恥ずかしい。あんなカッコつけて歩いて行ったのに直前であっさり解決するし、なんなの?こういう時ってカッコよく助けるのがお決まりじゃないの?周りでめっちゃ笑われてるし、、、)
マドウは、気絶した男の前でまさかの待機状態。女の子を見ると
「何?アンタもナンパ?」
「いや、、、そんなつもりはない、、」
マドウは気まずそうに視線を逸らし否定する。周りで再び笑いが起こる
「いや、ナンパに間違えられてるww」
「可愛いww」
「ヤバい、、大声で笑っちゃいそうww」
「アハハははは、もう無理、笑っちゃうよ。アハハ!ww」
遂には大爆笑をする者もあらわれた。ここは、占いの館近くなので、当然ほとんどが女性だ
「何か、騒がしいわね。どうしたのかしら?」
(お前のせいだよ。分かるだろ、大体状況は。)
女の子はこちらを見た。鋭い視線はツバキと似てる所があるのかもしれない
「まあ、いいわ。ってかアンタそんなところで何やってんの?」
「いや、、、なんでもない、、、」
(お前が絡まれたから、助けようとしたんだよ!」
マドウは、騒ぎが起こっている近くでただ立っている、変な奴と思ったらしい
「ふーん。あっ!いけない。!私妹待たせたんだ。行かないと!」
そのまま、女の子は走って行ってしまった。取り残されたのはマドウと気絶しているチンピラ
マドウはそっと、後ろを向いて列に戻ろうとするが既に列が進んでいたのでもう先ほど自分が並んでいた場所は無かった。
(、、、最初から並ぶのか、、人も増えているのに)
諦めて、後ろから並ぼうとした時
「あの~」
列から二人組の女の子の一人が声を掛けてきた
「もし、、プフッ、、よかったら、私たちの前入って、、いいよ。、、」
少し笑いながら、女の子は自身の少し前を開ける。
「そ、、うだよ、、せっかく並んでたわけだしw」
2人組の女の子たちは、頬をリスのように膨らませて笑いをこらえている。しかし、親切な心があるようだ
「、、申し訳ない。入ってもいいか?」
「どうぞ、、プフッ、、」
「ww、、、、」
2人組の前に入る。少し下がるが、最初よりだいぶましだ。しかし、前も後ろも自身を見て笑っている
(笑いすぎだ、、、何故こうなった?普通は凄い凄い言われて、しかもあの女の子が惚れるくらいじゃないのか?)
羞恥になりながらも、何とか耐えてとうとう自分の番が来た
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