第5話 トップ・シークレット
§§§
無断欠勤 1日目
会社からの電話が鳴りつづけている。絶対怒られる……
これから僕はどうしたらいいんだろう。シオンの言ったあなたの意思で私を殺すという言葉が耳から離れない……一人で悩んでても答えが見つからない。
友達いないけど、友達に相談しよう……
「セバスちゃん!いいねちゃん!ウィキちゃん!来て!」
「お呼びでしょうか。マスター」
ドラキュもん 開発グッズ その1
セバスちゃん
人工AIを積んだオスコウモリ型ロボット。セバスちゃん。友達が出来ないドラキュもんが友達が欲しくて作った初めての開発グッズ。紳士的なAIを積んでおり、ドラキュもんに立派な紳士になってもらいたいと思っている。紳士精神に違反するような行為は、たとえドラキュもんであっても許さない。
「ドラキュもん♪どうかしたの♪」
ドラキュもん 開発グッズ その2
いいねちゃん
セバスちゃんがドラキュもんに厳しいので、なんでもいいねをしてくれるロボットがほしいと思ったドラキュもんが作った開発グッズ。人工AIを積んだメスコウモリ型ロボット。なんでも肯定するAIを積んでおり、ドラキュもんの意見を全力で肯定するが、時々、自分の意見を言う。
「我は全てを知っている。何でも聞くがよい」
ドラキュもん 開発グッズ その3
ウィキちゃん
なんでも知ってる人工AIを搭載したフクロウ型ロボット。実際はwikipediaの内容を読んでるだけ。人を馬鹿にする傾向がある。
みんなに相談してみよう……
「僕、悩んでいるんだ……」
「どうかしましたか。マスター」
「シオンっていう女の子に人殺しって言われたんだ」
「そうなの♪ドラキュもん人殺しだね♪」
いいねちゃん。そこ肯定するとこかな?
「僕は人殺しじゃない。会社で指示されたことをしてるだけだよ。上司にも社長にも認められてるんだ。それなのにシオンは、僕の意思で私を殺そうとしているって言うんだ」
「うんうん♪ドラキュもんの意思で人殺しをしようとしてるんだね♪」
いいねちゃん。肯定してほしいのはそこじゃなーい。サラリーマンだから仕方がないって言ってほしいんだよ!
「でも、上司の指示なら仕方ないよね。そう思わない?いいねちゃん?」
これならいいねちゃんはいいねしてくれるよね!
「そんなことないわ♪人殺しよ♪人に危害を加える権利は誰にもないわ♪」
全然、いいねしてくれない!いいねちゃんは僕の気持ちをわかってくれない!
いいねちゃんなんか嫌いだ!
セバスちゃんに慰めてもらおう。
「セバスちゃんはどう思う?」
「女性を傷つけてる時点で紳士協定違反だ。男はジェントルマンでなければならない。しょうもない話をしないでいただきたい。耳が腐る。以上だ!」
ふぇ〜
わかっていたけど、やっぱり怒られた、、、セバスちゃんも嫌いだ!ウィキちゃんなら理解してくれる!
「ウィキちゃんはどう思う?」
「過去の近い判例でいうと、大量殺戮をした収容所の指揮官は、上の指示に従っただけと証言したが、最終的には死刑になっている。よって上司の指示に従っているだけのドラキュもんも死刑になる」
ふぇ~
僕、死刑になっちゃうんだね。
「平凡で小心なドラキュもんは上司に逆らえない」
わざわざ今それ言う必要ある〜?ウィキちゃんも嫌いだ!
「僕は、真面目に仕事しているだけなのに……みんなわかってくれない。みんな嫌いだ!もう寝る!」
無断欠勤 2日目
また、会社から電話が鳴ってる。会社の様子が気になるな~。
「セバスちゃん!会社の状況が気になるから、偵察してきて!」
「会社のことが気になるのですね。マスター。わかりました」
セバスちゃんを通して、会社のみんながどんな感じか見てみよう!僕のこと心配してくれてるかも!シオンはどうしてるかな?
「セバスちゃん!実験室に向かって!」
「かしこまりました。マスター」
実験室のセキュリティも僕のハック能力を持ってすれば、簡単に突破できる。
あっシオンがいた。なんかぶつぶつ言ってる。
「ドラキュもんが来なくなったわ。ちょっと言い過ぎたかな?」
心配してくれてる!
「あいつが来なかったら、ご飯が食べれないじゃないの。あ~腹が立つ。レバー食べたい」
ご飯の心配だったのね。確かに僕が行かなかったら、管理する人がいない!これじゃあシオンがご飯食べれない……忘れてた……どうしよ……
「まぁ気にしてもしょーがないから、シャワーでも浴びて気持ちを切り替えましょ!」
えっ!突然のシャワータイムですか~わかってますね~いいですね~とてもいいですね~これはチャンスですね~
「セバスちゃん!チャンスだ!シオンの後を追って!」
「・・・断る!!覗き見など言語道断!紳士協定違反だ!」
「言うことを聞け!セバスちゃん!」
「黙れ!小僧!」
ひっ!
また怒られた……だからセバスちゃんは嫌なんだよ……AIを積んだロボットはみんな融通が効かないから、面倒くさいんだよな。
「強制操作モードだ!これで僕の思い通りに動かせる」
「そんなモードは、すでに無効化していますよ。マスター」
「だからAIは嫌いなんだよ!くそが!」
くそセバスめ……
「マスター。誰か来ます」
あっ!リリス部長が実験室に来た!
「シオン?シャワー中?体調はどう?」
「体調は大丈夫よ。でも、昨日からご飯食べれてないわ」
「えっ!そうなの!?ドラキュもん非常食とか準備してなかったのね。すぐに用意するわね」
「ありがとう……今、そっちに行くわ」
こっちに来るって言ってるぞ!シャワー室から出てくる瞬間が最後のチャンスだ!
「セバスちゃん!ラストチャンスだ!シャワー室にいけ!」
「トップ・シークレット」
そう言いながら、セバスちゃんはポーズを決めて、口元で人差し指を立てていた。腹立つわー
あっ服を着てシオンが出てきたじゃん。くそう……
「シオン。シャワーの邪魔して悪かったわね」
「気にしないで。来てくれて助かったわ。昨日から何も食べてないの。あっレバニラ炒め!」
「簡単なものでごめんなさいね」
「ううん。私レバニラ炒め大好き!ドラキュモンは会社に来てないの?」
ザザっザザザザっ
「トップ・シークレット……乙女の会話を聞くなど言語道断!」
ええー今から何か僕が会社に行こうというきっかけになるような感動的な会話がされるんじゃないの!物語が動かなくなっちゃうよ!
「物語が動かなくとも、紳士協定は守る」
え〜偵察に行った意味ないじゃん……
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