第2話 ダイダロス基地

土星の衛星タイタンにダイダロス基地が設営され既に五年が経っている。この基地は土星から水素を採取する施設を土星軌道に建設する橋頭堡として運営されていた。

直径一キロのドーム型のこの基地には既に千五百名が暮らしていて、その構成は六割が水素施設建設関係者、三割が基地運営担当、そして残りの一割が、国連軍のメンバーだった。この国連軍のメンバーが治安の維持、その他調査パトロールの任務を担っていた。

僕はその国連軍に所属している池上翔少佐。防衛大学を卒業して二年目、航空自衛隊からこの国連軍に派遣されている。そしてアメリカ空軍出身で同い年のマリー・ペレス大尉が僕の相棒バディだった。


僕達は宇宙船の調査を終え基地に帰還した。結局、船内からは異星人の姿を発見することは出来なかった。多分、墜落後に全員が脱出してしまったのだろう。

僕達は船内から複数の機械を回収した。その中にはタブレットの様な物が含まれていて、ここから何かの情報を取り出せる事を期待していた。また食料庫と思われる場所に凍結保存されていた異様な形をした複数の魚?を回収しラボでの解析を依頼していた。


僕は宇宙船から回収したタブレットの借用許可を得て、自分の部屋に持って帰っていた。電子工学を専門としていた僕はこのタブレットを解析して何かの情報を取り出せないかと考えていたからだ。

でも残念ながら、その筐体は分解する事も出来ず、外部に入出力端子も全く見られないことから、僕の解析はあっという間に暗礁に乗り上げていた。

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