Interlude
Interlude03『後継者-Heir-』~時系列『未来』~
「キング、ほら煙草だ」
尋問室に入ってくるカートマンはジタンをキングに向かって放りよこした。
キングは受け取った煙草を一瞥し、
「どういう風の吹き回しだ」とつぶやく。
「ずっと吸いたかったんだろ」カートマンは怪訝そうに眉をひそめた。
「ミラは居ないか?」キングはカートマンの背後を気にする素振りを見せ言う。
「あの子は別の場所で休んでいる」カートマンはジッポの火をキングに差し出しつつ言った。
青年は火がついた事を確認すると、深々と吸い込みそして吐き出した。
「あの子、妊娠してるのか」カートマンが訊く。
下腹をこする仕草、お腹のふくらみ、そして彼女の前で煙草を吸えない目の前の彼から思い当たった質問であった。
キングはカートマンを一瞥し、
「ああ、たぶんな」
「君の子か?」
「いいや、俺ではない」
では誰が?
カートマンは聞くがキングは答えず、ジリジリと燃える煙草をくゆらせていた。
「大人をなめるなよ。捕まった以上大革命の真実を吐いてもらう。そういう約束だ」
カートマンは眼光を鋭くさせ言う。
「怖いな、おっさん。さすがSAS」
キングが煙草をテーブルの上にもみ消しつつつぶやく。
「関係ないだろう。第一次大革命を引き起こしたバーンズにも子供がいたらしいな」
「エディの行方は明らかになっていない」
そこでキングは「ウップス」と口をおさえた。
「エディ……か。ずいぶんと親しげに呼ぶんだな」
カートマンがにやりと意地悪くほほえみながら言った。
「誘導尋問かい……一本取られたな」
キングが不機嫌そうにむくれつつ言う。
「エドワード・バーンズを殺したのか? デザイナー・ベイビー」
カートマンの目が細められた。
「まさか。彼は生きている。残念ながら俺の遺伝子に『子供殺し』はインプットされてなかったらしい」
「なるほどな。バーンズの息子は一人だけか」
キング目を二、三度瞬かせた後、煙草をもう一本取り出し、
「……聞いて驚くなよ」
「いまさらなんだ?」カートマンは愛想笑いを浮かべつつ火を差し出しつつ言う。
「ミラ・クラークは戦闘諜報軍ASFの総司令官アンジェリカ・クラークとヴィクター・バーンズの娘だ」
カートマンの微笑が消える。
「彼女は遺伝子に刻まれた戦闘術とサバイバルスキルと共にリ・アメリカ政府を覆す革命児としての血を引いている。はっきり言って彼女の存在は俺より危険だ。だから俺はあんたらSASが突入する際、彼女を指名した。彼女の技量を見たかったからな」
「……お前のプロファイルを見た。彼女がもし革命児としての血を引いているのならば、貴様も似たような者だと私は思うがね」
「まだまだ協力してもらうぞ、……ヒビキ少尉」
カートマンはキングに言った。
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