わし、どこまで覚えていますか

@an1010

第0話 自己紹介 察して!他力本願!

5:45

カーテンの隙間から溢れる光でアラームより早く起きるのが通常と化した夏。

「あっつ…」

3年前、某大手メーカーイチオシの文字を信じて購入した遮光遮熱1級のカーテンも昨今の温暖化にはお手上げらしい。

ベッドサイドに置いた扇風機のボタンを足で押し、(無いよりはマシ)の風に当たりながら、脳内で本日の予定を立てる。

1.昨日脱ぎ捨てた服を洗濯機に入れる

2.ケトルで珈琲と味噌汁用の湯(500ml)を沸かす

3.洗顔・スキンケア・歯磨き

4.朝ごはん:鶏ハムと無限キャベツと目玉焼き

5.戦闘準備(着替え&化粧)

6.癒しタイム

「(うん。この流れで。)」

ベッドから起き上がれば、足元には脱ぎ散らかった服が1枚、2枚…6枚を洗濯機に放り込み、ケトルのスイッチを入れ、湯が沸く前に3にコマを進める。


PiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPiPi


蛇口から出る地下で冷やされた水で夜の熱りを飛ばし泡立てた洗顔を顔一面に付けた瞬間、アラームが部屋中を駆け巡り、鼓膜を突き抜け、心臓を刺激する。

「(タイミング…!!このアパート壁薄いんやぞっ!!)」

付けた泡を水で洗い流し、元凶を鎮める。

「脈拍ヤバ人」

築25年のアパートの壁は薄い。丸聞こえではないが、ギャグ漫画で思わず笑ってしまった笑い声や電話で誰かと話しているな、と分かる程度には聞こえてくるから用心した方がいい。そう、つまり、屁やゲップ、下した時の腹の音まで聞かれている!と、開き直って近所付き合いはしましょう。そんなことはしないって言える体に気をつけていらっしゃる方、年頃の皆様には誠に申し訳御座いません。それ、どこでどんな修行したら身につけられますかね。

「この爆音で絶対管理会社にクレーム来てるよ、『朝煩ぇ!!』って…。あ、ケトルさん、お湯ありがとっさん」

一人暮らしあるある①:ひとり言が増える。私あるある①:物を人呼びする。

改めて3の洗顔・スキンケア・歯磨きを終え、さぁ朝ご飯。

「やらかした…弁当作ったら朝分ないやん」

私あるある②:予定は未定。

食欲そこまであるわけやないから、メニュー変更。手際よくおかずを弁当箱に詰めれば、あとは簡単。マグカップに珈琲を作り、シェイカーに豆乳を入れ、甘めのプロテイン+インスタントコーヒーを少量加えて高速腕振り(二の腕の肉振れ注意)。そして、飲む。はい、朝ご飯終了。朝ご飯予定だったものはお昼の楽しみ、味噌汁予定だったお湯はそのまま飲む!(白湯ってやつですよ。)


6:30

大手さんでも苦戦する太陽光には、私も手を抜けない日焼け対策と化粧。それと同じくらい大切な朝活。

「朝の楽しみ漫画タイムー!」

近年のマンガアプリの偉大さよ。24時間待てば1話無料で読めてしまう。しかも短時間CMを見たらもう一話分読める寛大さ。万年金欠人間には必須アイテムだ。

恋愛・スポーツ・グルメ・日常・ホラー・エロなどの定番にBLが仲間入りし、よほど拘らなければ癒やしが増える。

「あ゛あ゛あ゛尊い…いい子過ぎる…尊い…岸口先生も尊い…もう神様やん…」

増えた癒やしは、対価として語彙を奪い去っていく。むしろ、こんなんで良ければお持ち下さい。


BiBiBiBiBiBiBiBiBiBiBiBi


7:00

「うっさいわ!スマホ君、お知らせどうも!あ、化粧してない!!」

日焼け止め→化粧水→美容液→乳液→下地→ファンデーション→アイシャドウ→フェイスパウダー。

「(本当はもっとあるけどあとは会社でやれたらやる!!)」

どれだけ推しが尊くても、明日の推しを拝むため出勤。

必要最低限を整え、駅ホームへ。


さて、散々、恥部を晒しておりました人物、高石舞は電車通勤のため、これより一般常識人(仮)になる。覚えておいてほしいことは唯一つ。

「どうも、はじめまして。私、コミュ障ポンコツです。」

あとはどうでもいい。26歳 女 彼氏いない歴=年齢 一人暮らし2年目

職業歴:ドラッグストア店員(1年半)→製造業事務員(1年半)

趣味:ヲタ活(ジャン○作品最高!)/筋トレ/ヒトカラ/寝ること/

仕事がなければ外にすら出たくないお家派。筋トレは小学生からの脂肪とサヨナラしたく始めた。YouTuber様に習って頑張り中。


これはもう二度と起きなくていい、ぶっ飛んだ時間の話だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

わし、どこまで覚えていますか @an1010

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ