ウェールズの切り裂き魔、売婦を殺害後に死姦か?

 ジミーは通勤の際、馬丁に二ギニーを毎回渡すような義理の高い男で、そして赤い山高帽を被っている。つまり、これは下らないフェイクニュースじゃない。

 サイレントセンサーへの抗議は一切受け付けないし、君のフラッチ硬貨は戻らない。



 おぞましい遺体が発見されたのは君もよく通っている売婦の街――シュミラーユ。我らがカーター警部が現地に着いた頃には、既に鼠がご馳走・・・を貪っていた。顔の損傷が激しく身元の特定は困難を極め……なかったらしい。すんなりと彼女を知ることができた。胸部を大きく引き剝いた緑黄色のコルセット。ああ、僕も知っているさ、シュミラーユの売春婦ロゼリアその人だった。

 面白いのはここから。

 ロゼリアには死亡後、乱暴された跡があった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 唇を大きく引き裂くその手口は、まさしくウェールズの切り裂き魔さまによるものだろう。驚きと興奮で僕の文字は揺れている。彼が死姦を行ったとするのであれば、僕らはウェールズの切り裂き魔に対する見方を変えなくてはならないのかもしれない。



『Christie, Jimmy. "Welsh Ripper, murdered after killing prostitute?." Silent Sensor 13 August 1893, Sumire ed., A13+』

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