はじめの一歩!

「よう、ユーリ。そんなこわい顔してどこに行くんだ」

 振り向いても誰もいない。僕はきょろきょろと周りを見渡した。

「した、下。おまえ、わざとやってるだろ」

「ごめん。やぁ、テリー。げ、元気そうだね」

 足元に、ぷよぷよとしたゼリー状というか、ゲル状というか……そんな感じのスライム族のテリーに、僕は笑って見せた。上手く笑えていただろうか。

「はは、かなり緊張してやがるな。しかし、ようやく決意したんだな」

 どうやっても緊張は隠せないみたいだ。僕はがちがちと歯を鳴らしながら頷いた。

 そう。今日、僕は、ついに決意したんだ。

 冒険者になるための試験を受けに、ギルドへ行くことを!


 でも、やっぱり怖いなぁ。


「ね、ねぇテリー。ギルドまでついてきてくれない?」

「あ? やだよ。こう見えてもオレはすげー忙しいんだ」

「そんなこといわずにー! あとでぱふぇを、パフェをおごるから!」

「む。それはなかなか魅力的な提案だな。仕方ねぇ。ついていくだけだぞ」

「ありがとう、テリー!」

 

 僕とテリーは物心がついたころくらいからの友達だ。

テリーは僕が困っているといつだって助けてくれる。僕もテリーが困っていたら何でも手伝っている。といっても、僕が助けられるケースの方がはるかに多いのだけれど。種族は違うけど、僕にとってテリーは一番の親友なんだ。


「ついたぜ。それじゃ、オレはこの辺で」

「ま、待って! 中までついてきて!」

「……しょーがねーなー」

 僕は恐る恐る、ギルドの建物のドアを開く。


 いよいよここから、僕の冒険が始まる!

 勇気を出して、栄光への道を一歩、踏み出した!

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