8月15日・17日・18日

 令和最初の終戦の日。俺は出勤だった。平和に勝る宝はない。だが、たとえ平和な時代であっても、人は食べてゆかなくてはならない。そして、食べるためには働かなくてはならない。

 終点下車。駅から5分程度かかる場所にあるカフェに入り、朝食をしたためた。コーヒーを飲みながら、笹沢左保の『影法師を斬る』の続きを読んだ。

 店を出て、坂道を下った。歩きながら、ラジオの情報番組を聴いていた。今日の話題は「遭難者救助の画期的システムについて」であった。職場到着。更衣室に行き、着替えを済ませた。


 職員食堂に足を進め、券売機でBランチを買った。今日のBは魚類と野菜の天ぷら。小鉢は牛蒡サラダ。いつもの席に座り、黙々と食べた。食後にコップ一杯分の冷水を飲んだ。トレイを棚におさめてから、休憩場所に向かった。


 帰りの電車の中で『影法師』を読了した。地元駅下車。階段を登り、改札を抜けた。駅を出て、他人の邪魔にならないところまで歩いた。足を止め、公園近傍の弁当屋に電話をかけた。反応はあった。しかし、商品はなかった。


 帰宅後、ラジオを聴きながら、腕立て伏せをやった。風呂場に行き、温水を浴びた。体を拭き、服を着た。居室に行き、チェスの復習。記憶力の劣化に今更のように驚く。今日の日記は中止にするつもりだったが、気がつくと、書き出していた。夕食後に『直虎』(第3話)の続きを鑑賞する予定である。


♞今宵の酒は缶入りハイボールと麦焼酎の水割り。酒肴はコンビニおでん。


 眼が覚めた。枕時計が「朝の8時半」を示していた。洗顔後、身支度を整えた。一週間分の衣類を担いで、近所のコインランドリーへ向った。店内は無人であった。空いているマシンに担いできたものを放り込んだ。粉末洗剤を撒きざまに、扉を閉じた。指定の金額を投入し、始動ボタンを押した。


 家に戻り、洗い立ての衣類をバルコニーの物干し台に吊るした。強烈な太陽が復活していた。日没までこうしておけば、相当乾く筈である。

 台所に行き、電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸騰後、ティーバッグ式のほうじ茶を淹れた。酒肴類の他に食べるものは何もない。まさか、スルメを齧りながら、茶を飲むわけにもゆかぬ。

 居室に行き、ニンテンドーDSを起動させた。飲みながら、タスケチェスを指す。先手(白)を選択。対戦相手は「レベル9の美夏」である。44年前の指南書に「古い手です」と記されている「センター・ゲーム」をやってみる。


[01]♙e4,♟e5

[02]♙d4,♟:d4

[03]♕:d4,♞c6

[04]♕e3,♞f6

[05]♘c3,♝b4

[06]♗d2,♜⇔♚g8

[07]♖⇔♔c1,♜e8


 とまあ、序盤はこんな感じ。白黒両軍、キングの入城を済ませて、いつでも斬り合える構えである。この後、白のクイーンが敵の大将の頭上に移動する。


♛今宵の酒は缶入り酎ハイとウイスキーの水割りになると思う。酒肴も未定。


 明け方に眼が覚めた。枕時計が「3時5分」を示していた。台所に行き、水差しの中身を紙コップに注いだ。氷は全て融け切っていたが、幾分、冷たさが残っていた。立て続けに三杯。驚くほどの旨さだ。蘇生の快感を感じつつ、寝床に戻った。

 気がつくと、8時になっていた。まったくよく寝る男である。洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、インスタントコーヒーを淹れた。窓外の景色を眺めながら、熱いやつを飲んだ。


 居室に行き、愛機を起動させた。メクるの復旧は今朝もなかった。作業が進んでいるのかいないのか、それすらもわからぬ。どうやら、最悪の事態を覚悟しておいた方がいいようだ。ネット浮遊暦20年の俺だが、これほどの杜撰管理は記憶にない。最早、文句を云う元気も失せた。

 セルバンテスを呼び出し、草小説の復元と草随筆の編集を行った。シャットダウン確認後、身支度を整えた。最後のカギをかけてから、自室を離れた。


 貸し円盤(DVD)屋に行き、借りていた3枚を返した。店を出て、隣り町まで歩いた。途中、ラーメン屋に寄り、冷やし中華を食べた。もうひとつの円盤屋に入り、今週観るものを借りた。

 店を出て、家路を歩いた。駅前広場で演説をやっていた。ラジオの甲子園中継を聴きながら、歩行を続けた。一方的な試合になっていた。野球はリザイン(降参)がないので時に惨酷だ。降参制度を導入したらどうかと真剣に思う。


 コンビニに寄り、棒状氷菓と冷凍緑茶を買った。後者は最後の一本だった。よく売れているらしい。帰宅後、卓上ラジオの電源を入れた。甲子園を聴きながら、氷菓を食べた。なかなか美味しかった。食後、腰に吊るした歩数計を確かめた。画面に「11245」が刻まれていた。目標歩数、一応達成。


♞今夜はスクリュードライバーを作ろうと思う。夏向きのカクテルである。

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