第20話 迎撃、ロックオーガ
防具をマノンに預けた僕は、ドノバンさんに首根っこを掴まれて連行されてます。
そんなに僕の首根っこは、掴みやすいんでしょうかね?
「下手な抵抗しなければ、手荒な真似をする気はねぇ……」
「はい、分かりました……」
いやいや、元よりドノバンさん相手に、抵抗しようなんて気は更々ありませんよ。
マノンやミューエルさんは心配そうな顔で見ていますが、ギリクは敵意剥き出しの表情ですねぇ。
まぁ今の僕は得体の知れない子供ですから、仕方ないですよねぇ。
『ケント様、ちょっと拙い事態が……』
『ん? バステン、拙い事態って、僕の事じゃなくて?』
『はい、魔の森からロックオーガの群れが迫って来て居ます』
『えぇぇぇ……』
ドノバンさんに連行されている途中に、バステンからの報告を念話で受けた途端、遠くからカンカンカン、カンカンカン……と早鐘の音が聞こえて来ました。
「ちっ、こんな時に面倒な……ケント、お前が関わってるんじゃねぇだろうな?」
臨戦態勢、本気モードのドノバンさんの迫力に押されて、プルプルと首を振って否定するしかありませんでしたよ。
ギルドの建物へと入ると、若い冒険者が駆け寄って来ました。
「ドノバンさん、大変です、ロックオーガの大群が!」
「何だと、ロックオーガだと、雑魚じゃねぇのか、くそっ……」
ドノバンさんは一瞬迷うような表情を見せた後、僕を引き摺りながら大股で歩き始めました。
「ぐぇ……く、首ぃ……」
「おい、書庫の鍵を貸せ!」
ドノバンさんはカウンター裏の職員用のスペースへと僕を引き摺って行くと、書庫の鍵を開けて中へと放り込みました。
「ふぎゃ……痛たた……」
「今は時間が無ぇ、そこで大人しくしとけ!」
「いや、ちょっと……」
目の前で分厚い扉が手荒く閉められて、ガチャンと鍵の掛かる重たい音が響きました。
窓の無い書庫の中は真っ暗ですが、夜目が利く僕には全く問題ありませんね。
それよりも、今はロックオーガの方が問題です。
『バステン、数はどのぐらいなの?』
『はい、ざっと見で200頭以上いそうです』
『それって、守備隊や冒険者が相手するのは厳しい数だよね』
『はい、普通に戦えば、かなりの犠牲が出るかと……』
『よし、僕らで対処しよう、フレッド、戻って来て!』
『ケント様……もう、ここに……』
『じゃあ、行こうか……』
ギルドの書庫から影へと沈んで、移動を始めました。
バステンの誘導で城壁の影へと移動すると、城壁の上からは緊迫した声が聞こえて来ます。
どうやら守備隊や、ランクの高い冒険者が集まって来ているようです。
「おい、まだまだ出て来るぞ、一体何頭いやがるんだ」
「いいか、絶対に街へ入れるな、ここで食い止めるぞ」
「いくらロックオーガが強力だって、傷つかないわけでも、死なないわけでもない、やるぞ!」
「おい、ドノバンさんは、まだなのか! 呼びに行ったの誰だよ」
魔の森の方向へと視線を転じると、森の中からロックオーガがゾロゾロと姿を現していました。
「ウボァァァ! ウボァァァ!」
仲間を呼び集めているのでしょうか、何頭か盛んに遠吠えを繰り返しています。
昼間の太陽の下で見たのは初めてですが、一頭でも迫力があるロックオーガがゾロゾロと出て来る光景には危機感を覚えますね。
『ラインハルト、三人だけで問題無い?』
『ぶはははは、何の問題もありませんぞ、腕が鳴りますなぁ』
『それじゃあ、ラインハルトとバステンが討伐を担当して、フレッドは撃ち洩らしの処理と、魔石の回収をお願い出来るかな?』
『了解……お任せを……』
『ラインハルト、バステン、思いっきりやっちゃっても良いけど、城壁だけは壊しちゃ駄目だからね』
『分かってますぞ、お任せ下され』
『分団長、なるべく城壁から離れた所でやりましょう』
『じゃあ……とっとと片付けちゃって!』
『おうっ!』
僕がゴーサインを出すと、三人は城壁の影からヌルリと外へと踏み出して行きました。
おぉ、格好いい! なんか戦隊ヒーローって感じですよ。
「おい、何だこのスケルトンは、どこから出て来やがった?」
「えっ、ロックオーガに向かって行くのか? 味方なのか?」
「てか、スケルトンじゃロックオーガの相手にならねぇだろう……」
城壁上からの戸惑いの声を背に、ラインハルト達は悠然とロックオーガ達へと歩み寄って行きます。
10メートルほどの距離まで近づくと、三人は立ち止まり、自慢の武器を手に取りました。
『ぶははは、バステン、久々に競争といくか?』
『良いですねぇ、分団長、やりますか?』
『魔石の回収は任せて……』
『良し、バステン、行くぞ!』
『しゃぁぁぁ!』
うわぁ、凶悪スケルトンが揃って
ドンっと轟音を残して踏み込んだラインハルトが、愛剣グラムを一振りすると、六頭のロックオーガの頭が文字通りに吹き飛んじゃいました。
一方のバステンは槍の連撃を繰り出し、一瞬にして五頭のロックオーガの頭を貫いて絶命させした。
「ウボァァァ! ウボッ、ウバァ、ウバァァァ!」
仲間の血の匂いに興奮したロックオーガが殺到してきますが、ラインハルトとバステンはものともせずに血祭りにあげていきます。
二人が倒したロックオーガにはフレッドが影のごとく歩み寄り、素早く魔石を回収していきます。
ラインハルトが片手で大剣を振り回す度に、バステンが槍を突き出す度に、風船を針で突いたように、ロックオーガの頭が消失していきました。
うわぁ……鎧袖一触って感じですね。
『ぬぉーつまらん、歯ごたえが無さすぎるぞ』
突如、ラインハルトは大剣を影の空間へと放り込むと、こんどは素手でロックオーガに殴り掛かっていきました。
対するロックオーガも一頭ではやられるだけだと悟ったのか、数頭が一度に飛び掛かってきます。
右ストレート、左フック、頭突き、ラインハルトの一撃で、やはりロックオーガの頭は弾け飛んじゃってますね。
うわぁ……頭から返り血を浴びて悪鬼羅刹って感じですよ。
『しゃぁぁぁぁ!』
バステンはその場から殆ど動かずに、槍を払って首を刎ね飛ばし、槍の一突きで頭を弾け飛ばしてます。
明らかに槍の間合いからも外れた距離にいるロックオーガも、バステンの槍の餌食となってますよ。
うん、全く目で追いきれませんし、またしても槍で遠距離攻撃とか……深く考えたら負けなんでしょうね。
ロックオーガは瞬く間に数を減らし、時間にして20分と掛からずに全滅しちゃいました。
「すげぇぞ、あのスケルトン、めちゃくちゃ強ぇぇぇ!」
「何だこれは! 一体何が起こっている!」
「いや、俺らにも何がなんだか……」
おぅ、城壁の上からドノバンさんの声も聞こえますねぇ。
そう言えば、僕は監禁されているんでしたね。そろそろ戻っておこうかなぁ……。
『フレッドは引き続き魔石の回収。バステンは残党狩り。ラインハルトは……川で返り血を落としたら護衛に戻って』
『了解です!』
影を伝ってギルドに戻る途中に街の様子を眺めてみましたが、通りからは人の姿が消え、どの店も固く扉を閉ざしています。
こうした魔物の来襲は珍しい事ではないのか、街の人達も対応に慣れているように感じます。
戻って来たギルドの中には張り詰めた空気が漂っていて、ミューエルさんやマノンの姿は併設された酒場にありました。
その酒場もテーブルや椅子は端に片付けられていて、窓は鎧戸が閉じられているようです。
ギルド内部の様子を窺っていると、外からカーン、カーンとのんびりした感じの鐘の音が聞えてきました。
途端にギルドの内部は溜息の音に包まれ、張り詰めていた空気も緩んでいきます。
どうやら、危険が去ったのを知らせる鐘の音のようですね。
それでは、そろそろ書庫に戻っておきましょうかね。
書庫に戻ってみたものの特にやる事も無いので、棚に背中を預けて座っていたら眠り込んでしまいました。
自己治癒魔術でカバーしてはいるものの、やっぱり疲れが蓄積していたようで、書庫の鍵が開く重たい音にも全く気付きませんでした。
「おい、ケント、起きろ!」
「ふぁ? えっ……んー……おはようございます」
「はぁ……魔物が襲って来てたってぇのに、呑気な野郎だな……」
「ぐぇ……ちょ、首ぃ……」
再びドノバンさんに首根っこを掴まれ、ギルドの二階へと引き摺られて行きます。
講習を受けた会議室よりも奥の部屋では、領主のクラウスさんが待ち構えていました。
「あっ、クラウスさん、こんにちは」
「おう、ケント、何やらやらかしたみてぇだな……」
「すみません、ご面倒をお掛けします」
クラウスさんが座ったソファーと、テーブルを挟んだ反対の席にポイって感じで座らされました。
「ドノバンよぉ、これがリーゼンブルグの犬に見えるのか?」
「いえ、ですが、そう見せない凄腕という可能性も……まぁ無いでしょうが、念の為です」
「だな、さてケント。色々聞かせてもらいたいんだが、まずはお前は何者なんだ?」
いつものように、ちょっと軽薄そうなチョイ悪オヤジのクラウスさんですが、今日は目が笑ってませんね。
でも、いずれ正体を明かして協力を要請するつもりでしたから、それが少し早まっただけですね。
「商隊の生き残りだと身元を偽っていましたが、実は、リーゼンブルグ王国の第三王女カミラ・リーゼンブルグによって召喚された異世界人なんです」
「はぁぁ? 異世界? 召喚? 本気で言ってんのか?」
「えっと、こちらの世界に来てから今日までを話しますね……」
まぁ異世界からの召喚者なんて言っても、すぐには信じてもらえないでしょうから、召喚されてからの出来事を順番に話していきました。
中学校の一学年約200人が勇者としてではなく兵士として召喚され、魔力の暴走を防ぐためと言われて黒い腕輪を嵌められたと話すと、クラウスさんの表情が曇りました。
「ケント、そいつは『隷属の腕輪』なのか?」
「たぶん……そうだと思います」
「お前は何で腕輪を着けていないんだ?」
「僕はハズレ判定だったので、腕輪を着けられませんでした」
「それで、何でお前は自由の身で、何でヴォルザードに居るんだ?」
ラストチャンスだと騙されて魔の森を単独で横断させられ、ゴブリンに襲われて食われている途中で無意識にスケルトンを召喚し、無意識に自己治癒魔術を使って傷が治っていたと話すと、クラウスさんは、ドノバンさんと顔を見合わせました。
「ケント。スケルトンの召喚は闇属性魔術、傷を治すのは光属性魔術だが、お前は両方の適性があるって言うのか?」
「はい、たぶんそうなんだと思います。闇属性の魔術が使えますし、治癒の魔術も使えます。 『魔眼の水晶』が反応しなかったのも、そのせいかと……」
その後、三体のスケルトンを選んで強化して、その護衛のおかげで魔の森を踏破したと話すと、ドノバンさんの顔色が変わりました。
「三体のスケルトンだと? まさか、さっきの……」
「はい、ロックオーガと楽しそうに遊んでいたのは、その三体のスケルトンです」
「どこに居る? 今、そいつらはどこに居るんだ?」
「影の中に……」
僕が足元を指すと、今度はクラウスさんが納得したように頷きました。
「ケント、お前チンピラを脅すのに、そのスケルトンを使っただろう?」
「うぇ? そんな事まで知ってるんですか?」
「当たり前だ、俺は領主だぞ。城壁の中に魔物が出たと大騒ぎになったんだからな」
「うっ……ごめんなさい、ナイフをチラつかされたもので、つい……」
「ふはははは、なんだ、それじゃあナイフの代わりにスケルトンを召喚したって言うのか? ふはははは」
クラウスさんは腹を抱えて笑っていましたが、ドノバンさんは仏頂面のままです。
「ケント。そのスケルトンは、使い魔として完璧に制御出来てるんだろうな?」
「えっと、それは……何て言うか、使い魔とかじゃなくて、護衛をお願いしている感じで、三人とも自分の意思で動いてもらってますけど……」
「それじゃあ何か、スケルトンが暴走したら止める方法が無いのか?」
「えっと……それは……」
僕が言葉に詰まると、影の中からラインハルトが話し掛けてきました。
『ワシらは召喚主であるケント様の命に従いますぞ、無論間違った時には意見しますが……』
『ありがとう、ラインハルト』
ほんの少しでもラインハルト達に疑いを抱いた事を、僕は深く反省しました。
「ラインハルト達は、人々に危害を加えるような暴走はしません。召喚主である僕の命には従うと言ってくれていますが、それ以前に、そのような事態にはならないと僕は信じています」
「だがケント、スケルトンは魔物だぞ」
「魔物であっても、僕にとっては信頼出来る仲間……いえ、もう家族のような存在ですから、疑う余地なんかありません」
決意をこめた視線で見返すと、ドノバンさんは大きく一つ頷きました。
「そうか……ならば、後で使役している魔物として登録しておけ」
「えっ、登録ですか?」
「そうだ、かなり珍しいのだが、テイマーと言って、魔物を飼い馴らして使役する者達がいる。お前の場合は少し違うのだろうが、登録しておけば、街中にいてもトラブルにならずに済むぞ」
「そうなんですか、分かりました」
なるほど、使役している魔物として登録しておけば、街中にいても大丈夫なんですね。
この後、馬車で連れ去られた同級生はラストックの駐屯地で訓練を受けていて、肝心のカミラ・リーゼンブルグの目的は不明だと話しました。
「これが僕がヴォルザードにいる理由です。身元を偽って入り込んだ上、本当に勝手な言い分だとは重々承知していますが、どうか同級生達を助ける手助けをして下さい。お願いします!」
テーブルに打ち付けるような勢いで頭を下げて、クラウスさんに頼み込みました。
暫しの沈黙の後で、クラウスさんが口を開きました。
「ケント、頭を上げてくれ」
「はい……」
「まず、返事をする前に、ヴォルザードをロックオーガから救ってくれた事を感謝する。今のヴォルザードの戦力では、どれほどの犠牲が出ていたか、正直背筋が寒くなるような事態だった」
「そ、そんな……頭を上げてください、クラウスさん」
頭を上げた僕が目にしたのは、頭を下げるクラウスさんの姿でした。
そして、頭を上げたクラウスさんの顔には苦悩の色が浮かんでいました。
「すまん、ケント。これだけ世話になっていながら、お前の希望には添えない」
「そう、ですか……」
「理由は二つある。一つはカミラ・リーゼンブルグの目的が不明だからだ。目的がヴォルザードへの明確な侵略行為ならば手出しが出来るが、国内の内戦や魔の森の開拓のためだと言われたら、こちらから先に手を出す訳にはいかねぇ」
クラウスさんは、指を一本立てた後、更にもう一本指を立ててみせました。
「もう一つの理由は、お前の仲間が『隷属の腕輪』を嵌めているからだ。ランズヘルトでは奴隷制度は廃止になったが、リーゼンブルグでは今でも正当な制度として残っている。『隷属の腕輪』を嵌められた者は、所有物として扱われる、それを奪い取る事は……」
「戦争の火種になってしまうんですね?」
「そうだ……街を救ってもらっておいて、その恩義に報いる事が出来ないとは我ながら情けないが、他の街やランズヘルト全体を巻き込む事態を俺の一存では決められねぇんだ、すまん!」
クラウスさんは、再び深々と頭を下げました。
でも、こうなるのは予測の範囲内です。
「クラウスさん、頭を上げて下さい。確認なんですけど、その二つの問題がクリア出来たら……例えば、『隷属の腕輪』をしていない約二百人の子供が、自力で魔の森を超えてきたら力になっていただけますか?」
「ほぅ、その口振りだと何か考えがあるんだな?」
「はい、まだ細かい部分まで計画が出来ていませんが、大筋では……」
ラインハルトと一緒に考えた計画の一端を、クラウスさんに話しました。
「なるほど、リーゼンブルグの奴らに訓練させて、魔の森を踏破する力を養わせるか……考えたな」
「連絡用の内通者まで考えてるとは感心だな」
クラウスさんも、ドノバンさんも、僕らの作戦には同意してくれました。
「ケント、お前とすれば早く仲間を助けたい所だろうが、少し腰を据えてやろう。魔の森は、一度魔物の大量発生が起こると、その後暫く魔物どもの動きが活発になる。その辺の具合も見極めて作戦を立てた方が良い」
「はい、現状では騎士タイプも術士タイプも、まだまだ使い物になるレベルじゃないので、作戦を実行するにしても少し先の話になると思います」
「そうか、実行の時期とか何か相談したい時は、俺でもドノバンにでも気軽に声を掛けてくれ。表だっては無理だが、出来る限りの援助はさせてもらう」
「はい、よろしくお願いします」
クラウスさんとガッチリと握手を交わしました。
領主とは思えないゴツい手が、とても頼もしく感じます。
いずれクラウスさんに協力を求める予定でしたが、急に話をする事になって不安でしたが、結果的には支援の約束もして貰えたので安心しました。
ヴォルザードの人間が表立って関わるのは拙いので救出計画は内密として、僕は悪目立ちしないように、これまで通りの生活を続けることになりました。
ラインハルト達も登録はしますが、引き続き街中では姿をみせないようにします。
骨折が治った件は、商隊に居た頃に受けた加護の効果のおかげだと誤魔化すつもりです。
「救出作戦までに時間があるならば、お前を鍛えておく時間もあるんだな?」
「えっ? ド、ドノバンさん……?」
臨戦態勢ではなく、いつものドノバンさんに戻った感じですが、何でそんなに楽し気な笑みを浮かべているのでしょうか?
「あのスケルトン達と特訓しているのだろうが、見えない所で急に強くなると怪しまれるからな、俺が皆に見える所で鍛えてやろう。それならば、周りからも怪しまれないだろう」
「い、いや……僕は術士タイプみたいでして……」
「ならば余計だな。俺らはリーゼンブルグへ乗り込んで行けないから、その代わりにお前を鍛えてやろう」
「おう、ドノバン、そいつは良い考えだ。この街の恩人だ、間違っても命を落とさないように、しっかり鍛えてやってくれ」
いやいや、クラウスさんまで、何でそんなに楽しそうなんですか。
あれぇぇぇ、僕に対する疑いは晴れたけど、なんだか物凄く雲行きが怪しいと言うか、大嵐に突っ込んで行ってませんか?
「いや……ちょ……僕は、影に逃げ込めば……」
「ケント」
「はい……」
「遠慮するな」
「はい……」
駄目っす、無理っす、影移動を使っても逃げられる気がしないっす。
「あのぉ……鍛えるっていうのは、あと風の曜日と土の曜日をクリアすれば良いんですよね?」
「何を言ってる、闇の曜日、光の曜日。星の曜日の講習もあるし、そもそも鍛練に終わりなど無いぞ。人間は一生学び、鍛え続けるものだ……」
「えぇぇぇ……」
「なんだ、何か文句でもあるのか?」
「い、いえ……よ、よろしくお願いいたします」
「おう、任せておけ、すぐにギリクよりも強くしてやる。がはははは」
あれぇぇぇ、あと二週間で特訓は終わる予定だったんですけど……こんなの聞いてないよぉぉぉぉぉ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます