三月十一日

その日は家にいた。


家でのんびりと『ミヤネ屋』をみていると突然テレビ画面が揺れて、宮根さんが地震のようですねと軽く言っていたのを覚えている。そして、そほど時間がかからないうちに、軽い地震と思われていたものかとてつもない大規模な地震であることを速報で出ていた。


『ミヤネ屋』をやっているスタジオが大阪らしいのだけど、大阪でも揺れが観測しており、その震源地が大阪から離れた東北地方だということに驚きを隠せないでいた。


 やがて、画面は東北の映像へときりかわり、おおきな揺れとともに、大きな津波が押し寄せる映像が出た。


 私は思わず、食い入るようにテレビ画面を見る。


 津波が押し寄せ多くの家屋が呑み込まれていく。そして、津波が引くとともにまた家屋たちが海のほうへと流されていった。


 衝撃的だつた。これが現実で起こっているとは思えないほどで、突然映画かなにかがはじまったのではないかとさえ思えた。

 それからよるになるど原子力発電所の事故の映像。

 

 多くの人が行方不明となり、遺体で発見されたという報道。


 東京都内での交通の麻痺による帰宅難民。


 あまりの衝撃で言葉を失った。


 それから毎日報道される被害の映像。


 いなくなった親族を探す人々の姿。その中で印象的なものがある。


 一人の子どもの姿。男の子だったと思うけど、母親を探していた。すると、母親が乗っていた車を発見する。少年がその中を覗くと母親の姿があった。少年はただ一言、「もうためだよ」といっていたような気がする。


 すでに息絶えている母親を見つけたときの少年の心境は私では計り知れない。


 それから十年たった。それでもまだまだ被害の足跡は残っている。


 元の戻るにはまだまだ時間がかかるのだろう。


いまでも地震が起こっている。つい最近でも東北地方で大きな地震が起こっていたし、東日本大震災での余震はこれからも続くらしい。


 日本は地震大国。火山もあるから、いつどこでどんな災害が起こるかわからない。


それでも、地球上で唯一といっていいほどに、長い期間一つの国として成立している日本はすごいと思う。


よそは幾度となく、国が変わっているというのに、日本という国は、千年以上も昔から“日本”と呼ばれているのだ。


 そして、どんなに打ちひしがれても立ち上がる。


 戦争で負けて焼け野原になても立ち上がったし、阪神淡路大震災のあった神戸もすっかり都会になっている。

 崩れた熊本城も徐々に姿をとり戻しつつある。


 まだまだ長い時がかかるかもしれないが、必ず復興するのだと信じたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る