Working
またたび
tea
君は胸を張って都会を歩く会社員さ。
世の中には強い人間と弱い人間がいるが、君は本当に強い人間で、あっという間に僕より偉い立場になりそうで怖かったりする。でも、そんな君が報われなかったら僕はこの世界を憎むことしかできないから、君こそ僕よりも輝いてほしいとも、願うのさ。
「ジャスミンティで良かったかな?」
「ええ、ありがとう」
そう呟いて君はペットボトルを受け取り、僕の顔も見ずパソコンと睨めっこをしている。
顔を見てお礼を述べるべきだとか、そんなことはどうでもいいのだけれど、これを口実に君と喋りたかった僕は少し不満だ。そして、なにより無理をしてるのかと不安になる。
大丈夫かな、少し顔色が良くない気がする。
「僕に手伝えることがあったらいつでも言って」
それだけ言い残して僕も自分の場所へ戻る。
人々は今日も忙しい。その姿はかっこよく、勇気をもらえたりもする。だけど、忙しさに全てを奪われるのも違うからと、たまにはこの都会の空気を吸って吐き出す。
君は胸を張って都会を歩く会社員さ。
僕のいつまでも憧れな君。でも追いかけるよりも隣で寄り添って歩くことを決めたあの日から、少し僕の想いは変わった。
ずっと駆け抜けて、輝いて、そんな君が好きだから、無理をしないでなんて言えないのは相変わらずだけれど、笑顔の君を守れるように、君が無理をしないで済むように、僕も一緒に努力をしようなんて思ったのさ。
もちろん息抜きも大切だから、今日も一口、ジャスミンティ。
Working またたび @Ryuto52
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