春斗の告白
-ピンポーン。
チャイムが鳴りインターホン越しに春斗がいた。あれ、なんか忘れたのかな?そう思った私はスタスタと玄関に行きドアを開けた。
『・・・よお。』
『どうしたの?忘れ物?』
『いや、忘れ物じゃないんだけど・・・ちょっとあがっていい?』
『?うん、いいよ!』
私は何も考えずに部屋に通した。なんだろ、暇なのかな?くらいに考えてた。
『春斗が部屋に来るなんて久しぶりだよね。』
『・・・そうかもな。』
窓から注ぐ光が春斗の茶色い瞳をを照らしていてとても綺麗に光っていた。見上げないといけないくらいに身長に差がついてしまっていた。サッカー部で鍛えられた身体は程よく筋肉がついていて大人に近い。まじまじと見ると春斗は年下なのに不思議な色気がある。私では到底勝てそうもないというかモテるのもわかる気がするな。
何の話をしようかと本棚に目をやるとふとアルバムが目に入った。
『あ、小さい頃のアルバムあるよ!せっかくだから見て・・・!?』
・・・・・え。
一瞬時間が止まったかと思った。何が起きたのかわかるまでに何秒かかったんだろう。
『・・・春斗?』
理解したと同時に香水なのか春斗から甘酸っぱいフルーティないい匂いがして一気に目が覚めた。ドクンドクンと心臓の鼓動が聞こえてくる。
私は振り向きざまに春斗に抱きしめられていた。
『え、春斗、ど、どうしたの?』
とにかく冷静にならなきゃと思ったけど全然現実が追いついてこなかった。
『・・・こうされてるの、嫌?』
『嫌とかじゃないけど・・・私にこうするのは・・・違うでしょ?』
『・・・違くなんかないよ、何も。本当はずっとこうしたかったんだから。』
言葉の意味が上手く消化出来ない私をそっと解いた春斗はゆっくりと両手を握ってきてバチっと目が合った。
『・・・好きだ。俺と付き合って欲しい。』
『・・・え・・・。』
胸がつかえ、唾を思いっきり飲み込んだ。
『気付いてないと思うけど、俺、小さい頃からお前の事好きだったんだぜ?鈍感すぎだろ、ちゃんと責任とれよな。』
『な。』
なんてことを言うんだと思ったけど全然声が出なかった。春斗は覗き込むように満面の笑顔だったけど私は顔を真っ赤にしていた。
『ごめんな、混乱させて。一回落ち着いたほうがいいよな。すぐにとは言わないけど・・・とりあえず明日返事くれ、じゃ。』
『・・・え、ちょっと待っ・・』
春斗は私の頭をポンポンした後に急ぎ足で帰ってしまった。
頭を抱えベッドに倒れこむ。
いやいやいやいや。
え、なんで、このタイミングで?
春斗が私を好き?昔から?本当に?これって夢じゃなくて?
ベッドの上で転がりながらさっきの春斗を思い出す。抱きしめられたとき、すごく温かかったな。さっきの春斗のいい匂いが思い出されその瞬間初めて春斗が私の中で男性として認識された。
恥ずかしくなった私は枕を抱えながらベッドの上で足を思いっきりジタバタした。
-ピンポーン
その時また、チャイムが鳴ったんだ。
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