異世界転生して全能になったので願いを叶えるアレをやってます
タハノア
第1話 やること尽きた
「やること尽きた……」
俺の名前は、ドモ。異世界転生してきた元日本人だ。娯楽が何もなかったので、ゲームのレベル上げ感覚で魔法やら武術やらを鍛えまくったら転生特典のおかげで見事に世界最強になりましてね……。
そしたら魔王討伐やら邪神との戦いやらなんやら色々あって、倒すたびにどんどん能力が上がっていき最終的には不老不死に至ったんだよね。
旅の途中で、できた仲間もいたけど実力が違いすぎるパーティーは悲しいかなすぐにバラバらになった。
「私達は、足手まといにしかならない!」なんて言われて「そんな事ないよ!」って返す。昔読んだ小説ではこれで上手く行っていたのに、現実ときたら残酷なものだ。
向上心のある奴は実力が伸び悩み次第に荒れて最終的に牢屋行き。おとなしい子は自分を追い込み精神不安定に。理性的なやつは合理的に判断を下し早期に離脱。最後に残った仲間にはエンチャント武器やら補助魔法やらで支援しまくったら「俺はあんたの人形じゃない!」と離脱……。
その後一人で魔王と邪神を倒した。
敵もいなくなってすることもなかった俺はしばらく一人旅をしていた。その途中で運良く嫁ができた。
しかし俺が年を取らないせいで、10年も経つと行く先々で若い男を引っ掛けたと噂され彼女はストレスを貯めていた。そして、結婚十五年目のある日「親思いの良い息子さんですね」と何気ない周囲の言葉がトドメになり「もう耐えられない!」と発狂して失踪してしまった……。
結局今は、誰も来ない山のカルデラにある森で自給自足のスローライフですよ……。
いや……嘘はやめよう……。すでに畑は草地に戻り、食事がいらない事に気がついてからは食べることすらやめてしまった。全くライフしてない……ただここにいるだけ。
というか、何をやっても半日で最上級レベルになるから何やっても全く面白くないんだよぉぉぉぉ! チートなんてくそくらえだ!
今やってる事と言えば、いつから勝手に住み着いたパカラナとかいうでかいネズミに餌をやるぐらいだ。
「はぁ……暇だなぁ……」
パカラナが手に持ったナッツをかじってるのを見ながらボソリとつぶやく。独り言はすっかり癖になってしまった。
もう千回は読んだこの世界の小説を手に取り、読むわけでもなくパラパラとめくる……。
そうしていると、ふとページをめくる手が止まる……。
”さぁ……願いを言え。どんな願いも一つだけ叶えてやろう……。”
今まで注目してこなかった、呼び出されて願いを叶える魔人に意識が行った。
「これだ! これをやろう!」
俺はそう思い立つと同時に、今まで得た能力をフル活用し様々なパターンの願いを叶える儀式を作り出した。
そして……世界中にばらまいたのだった。
「よしよし! 早く誰か呼び出してくれよ~」
俺は年甲斐もなくソワソワしながら呼び出されるのを待つのであった。
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今回の一言:パカラナは実在する!
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