深痕のミシア ―1.ミシア編「拷問されたりもしたけれど、元気です」―

真田 了

序(1)

広く薄暗い部屋。

部屋の中央にはベッドのような形の石の台があり、部屋の隅には鉄の檻がある。


その部屋には1人の男と2人の少女が居た。

2人の少女は檻の中に閉じ込められている。

男は檻の外に立っているが、仮面をかぶっていて、表情は見えない。


仮面の男は檻の中にいる片方の少女に話しかけた。


仮面の男「これからお前を拷問する。痛めつけるが殺しはしない。気絶したらお前の負け、降参してもお前の負けだ」

少女「…負けたら、どうなるの?」

話しかけられた少女は震えながらも、気丈に問いかけた。

仮面の男「負けたら、あるいはお前が逃げ出したら、次はそちらの娘の番だ」

男はもう片方の少女を指差す。

指差された少女はびくっと身体を震わせた。


拷問すると言われた少女は、指差された少女を庇うように声を張り上げた。

少女「…だったら、絶対負けない!」


少女は1人だけ檻から出され、部屋の中央にある石の台に縛り付けられた。

仮面の男「それでは、始めよう。…ヒッ!ヒヒヒッ!ヒヒヒヒヒ!!」

男は仮面の下からくぐもった笑い声を上げ、手を震えさせながら、鞭を振り上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る