受け継ぐ者

夏記

プロローグ 空に浮いた島で

 空に浮いた五つの島、その中の一つにその生き物はいた。

 黄色い瞳に人の倍はあるであろう体を覆う藍色の鱗、剣のように鋭い尻尾に大きく広げた翼。

 その生き物は口を上に向けると、大きく開きそこから赤く輝く太い光の線を放った。その光は雲を貫きそのまま伸びていった。

 人はその生き物を竜と、またドラゴンと呼んだ。

 そして人は、まだその生き物を本の中の存在としか思っていなかった。

 彼らの存在も同じく、そしてその力さえも、 ある一部の者達を除いて知るものはいなかった。

 

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