僕の周りの危険な彼女ら
石田未来
日常の朝
ジリリリリリン!!!!
耳に響くけたたましい音が部屋中に鳴り響いていた。
ボタンを押して目覚ましを止めた。
俺は身体を起こしてカーテンを開けた。そこには紅く光る太陽が僕の身体にエネルギーを充填してくれる。
「さてと、朝ごはんの準備をしようか」
俺はこの水景市に住む高校生の
毎日のライフサイクルは朝早起きして太陽の光を浴びてから始まる。
そして朝ごはんの準備をする。僕の家は父が仕事の都合であちらこちら世界を飛び回っており、それに母が同伴している。
そのためうちには姉たちと暮らしているが、これがなんとダメ姉で、俺が起こさないとちっとも起きやしない。
朝ごはんの準備を手早く終えると、姉たちを起こしにいった。
まず最初が1番上の姉の
「ほら起きてよ。朝ごはんできてるってば」
「ううん…。あと5時間…」
こちらに背を向けて寝ている朔夜姉はそんなふざけたことをぬかして居眠りを決め込んでいた。
「何を馬鹿なことを言ってんの。起きてよ」
こちらの方に身体を向けると下着姿で今にも胸がこぼれそうな姿をしている朔夜姉の姿があった。
寝息をか細くたてており、気持ちよさそうであった。
「起きないと朔夜姉の大事にしてるボトル割るけど」
「ちょ、ちょっとやめなさいよ!命より大事なんだから!?」
よし。ちゃんとおきた。さすがにお酒のことになると朔夜姉は覚醒してくれる。
だが朔夜姉はまだいい。問題はもう1人の姉である。
あの人が一番厄介である。3番目の姉の
どう厄介なのかはあの人の部屋に行けばわかる。
「おはよう朔夜姉。朝ごはんできてるよ」
「ふぁ…。おはよう。あんがとね」
朔夜姉は欠伸を手で押えてそう言った。それよりは下着姿をどうにかして欲しい。
いくら姉弟とはいえども姉の下着姿など見てて気持ちいいものでは無い。
「服きて寝ないの?」
「いいじゃないこれが楽だもの。それとも麟はお姉ちゃんに欲情でもするのかな?」
ニヤニヤした顔でこちらを見ていた。からかっているだろうが面倒だから相手にはしない。
「早く降りてきてね。じゃ」
「ちょ!スルーはやめてよ!?」
朔夜姉は何か言っていたが、聞くだけ無駄だと思い、話をスルーしてもう1人の寝坊助姉の所へと向かった。
4つある部屋のうちの階段の奥の左側の部屋。そこの扉を開けた。
大きな本棚がいくつもありそこには様々な小説が置かれていた。
そしてそんな本だらけの部屋でダブルサイズのベッドで寝ている女性。
そこにいるのが僕の3番目の姉の
「白夜姉。起きてよ」
先程の朔夜姉のように揺すって起こそうとした。しかし白夜姉は全くの無反応であり、起きる兆しがない。
「もう。白夜姉ってば!」
「う…ん…。麟ちゃん…」
僕の名前を呼んでいたが、どうやら夢を寝ているようだった。しかし起こさなければ折角の朝ごはんが冷めてしまう。
「白夜姉ってば!おき…うわぁ!?」
揺すっていた僕の手を引いて身体を引き寄せられた。そして引き込まれた先は、メロンのように大きく、しかしながらマシュマロのように柔らかい豊満な胸に頭を押し込まれた。
いい匂いがして気持ちいいのだが、息ができない。
「白夜姉!ちょっと…息…!」
「ふふ。麟ちゃんつーかまーえた!」
声音の感じで分かってしまった。彼女は既に起きていた。そして、わざと寝たフリをして僕に起こされようとしたのだ。
胸に僕をひきこんだら強く締め上げて胸にぐりぐりと僕の頭を擦り付けて来る。
「狸寝入り…だった…の?」
「ふふ。そうよ?可愛い私の麟ちゃん成分を補給するためにね?」
捕まえた僕を逃がさないように足まで絡めてきて、僕の匂いを嗅いでいる。
肌に白夜姉の鼻息が当たっていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…。なんていい匂いなの…あぁ、イッちゃいそう!」
「もがが…白夜姉…息が…はな…して…」
後朔夜姉にも言えることだがうちの姉たちはむちゃくちゃ力が強いからこれ以上締め付けられたら、骨が…。
「最…高…」
匂いを嗅ぎトリップ状態の白夜姉はもはや力の加減などわからず、締めつけを強くしていき、「ゴキュ!」とあきらからに人体からしてはいけない音がした。
「だぁぁぁぁ!!!!」
これが僕の毎日である。本当に毎朝姉を起こすという行為は油断なんてできない。まぁ慣れてきたこともあり、前よりは対応できたのではあるが。
「麟。お茶とって」
「はい」
「ん、あんがと」
スーツを着た朔夜姉と裸から私服に着替えた白夜姉と僕の3人でリビングにて朝食をとっていた。神室木家の朝ごはんは必ず白米である。
これは昔からの起きてらしく、パンなどは絶対に許されないらしい。理由は深くは知らないが、物心着いた時から、当たり前のことであるため、特にどうも感じない。
「ははっ。あいつやるわね」
朔夜姉はそう言って朝ごはんん食べている際に新聞記事で目に止まったものを僕と白夜姉に見せてきた。
そこには「
「さすがだね鞠弥姉。強いなー」
この見出しの記事の写真の鞠弥という女性は僕の2番目の姉の
プロの総合格闘家で世界中飛び回っている。むちゃくちゃ強いし、それと同時にとても怖い。
大体泣かされた記憶しかないため、僕は嫌いでは無いものの、正直言って苦手である。
「そういえば鞠姉さん。そんなこと夜中の電話で言ってたわ」
白夜姉は「あぁ」と思い出したようにそう言った。しかし7連覇って凄まじいすぎるな。18歳からプロ転向してずっと優勝している。
なんなら鞠弥姉が負けたところなど1度も見たことない。
「そういえば鞠弥姉いつ帰ってくるのかな?」
「さぁね…。まぁ大会も終わったようだし、近いうちに帰ってくるんじゃないかしら?」
お茶を啜りながら朔夜姉がそう言った。お茶を飲み終えると、腕時計を確認して立ち上がった。
「私はそろそろ学校行くから麟も気をつけて学校来なさいよ」
「わかってるよ」
バッグを掴み、ジャケットを着た姉はこちらの方へ「いってきます」と挨拶をしてリビングを後にしていった。
「さぁて朔姉さんもいなくなったし。私とあつーい朝を過ごしさなーい?」
朔夜姉が仕事に行ったのを確認すると、急にこちらの方に近づき僕の肩に頬ずりをして甘えてきた白夜姉。
これはお決まりのことである。朔夜姉がいない時はこのようにスキンシップをやたら取ってくるし、俺にエロいことをしてくる。
「あんまりくっつき過ぎないでよ。ご飯が食べにくい」
「いいじゃん!私と麟ちゃんの仲なんだからー。もう照れてる!可愛いなぁ!!」
もうお構い無しに抱きついてくる。白夜姉は美人でおっぱいも大きくスタイルも抜群ではあるものの、血の繋がった姉である。
その響きが僕の理性を保ってくれるのだ。
「それより、今日締切なんでしょ?ゆっくりしてる暇なんてないんでしょ?」
「いいわよ。それよりも私は一分一秒でも麟ちゃんと一緒にいたいのー」
自慢のおっぱいを押し付けて僕を誘惑してくる。
うちの白夜姉は小説家であり、大人気ベストセラーを世に送り出している超売れっ子である。ペンネームは
姉のスキンシップは意識しだした頃はどうにかなりそうだったが、だいぶ慣れてきて抵抗もできるようになってきた。
「あんまりしつこいと朔夜姉に言うよ?」
「…。麟ちゃんのいじわる…お姉ちゃんのこと嫌いになったの?」
「嫌いじゃないけど。度がすぎてるの」
ふくれっ面の白夜姉は抱きしめるのをやめて仕方なくご飯を食べ始めた。
本当に世話のやける姉達である。しかしこれが学校に行くいつもの僕、神室木麟弥の朝である。
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