「さらしもの」 GenHoshino(星野源) について

ぺんぎん K

さらされた者のこれまで

2019年、『same thing』というEP(3~5曲ぐらい聞ける作品)が発売された。歌うアーティストは今の音楽シーンを代表する星野源。

私は一応これまで発売されたすべてのアルバムを聞いており、自分のことをファンと名乗ってもいいのではないかと思っている。これはそんな一ファンが感じた、新曲に対する感想文だ。


ぶっちゃけた話、今作で歌っているこの男「星野源」ではない、

「Gen Hoshino」である。


彼の魅力、個人的には「星野源」の一番の魅力は等身大であること、いつも私たちの隣にいてくれることだと思う。オタクでHでブラックミュージックマニア、そんな彼が自分たちと同じように普通に生きて、悩み苦しみ、時に怒り、そしてたくさん笑う。彼は普通なのだ。普通過ぎるほどに。

思わず「それわかるわ~。あるある」と言いたくなる数々の共感できる歌詞。気持ちのいいビート。そうやって初めて作った「ばらばら」から「アイデア」まで彼は私たちの先を行かずに常にこちらと一緒に、悩んだりウンウン言っていた。

そんな彼の、そしていい音楽の宿命とでも言うのだろうか、彼は売れてしまったのである。売れすぎた結果、彼は一度死んだのだ。


「アイデア」という曲はご存じだろうか。連続テレビ小説、俗にいう朝ドラの主題歌にも起用されたこの歌、MVが深いので一度ユーチューブでの視聴をオススメする。映像の中では源ちゃんをはじめバンドのメンバーは全員喪服を着用、スーツで演奏をしている。これは一体何を表しているのか。

星野源のこれまでの「アイデア」の葬式である。これまでのアイデア。人間が人間たるゆえんの脳みそから出たすべての「アイデア」。それはその人自身であり、「星野源」自身を表すもののだ。

「アイデア」が収録されているアルバム「POP VIRUS」で一度区切りをつける。と源ちゃんはインタビューで語っている。それは文字通り、星野源の一つの人生に区切りをつけた作品となったのだ。


こうして私たちの隣人「星野源」というデフォルメ化されたキャラクターの終りが告げられた。

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