最弱色の魔法師 〜転生した元最強、学生になる〜

いーさん

プロローグ

その空間は禍々しい空間に支配されていた。


しかし、一筋の光がその場を照らした


「はぁぁぁぁぁ! これで終わりだ!」


光り輝く剣を手にした男は魔王の心臓を真っ二つに切り裂いた


「我がこんなとこで終わるものか……」


「いや、終わりだ」


そう言いフードをかぶった男は魔王の残りの手足を一瞬で肉片に変えた。


そして禍々しい気配は完全に消え、聖剣の光の気配が空間を支配した


「これでやっと終わりなのよね……」


「ええ、賢者様から聞いた話では勇者の称号を持つものが聖剣で心臓を切ることができたら倒すことができるはずです」


「それ、逆を言えば聖剣と称号がないと魔王殺せないじゃない」


魔女がかぶるような三角帽子を被り、燃えるような赤色の髪の毛をしている少女は杖を横にいる少女に向けながらそう話した


「楽しそうに話しているところすまない、僕とアルスに回復魔法をかけてくれないかい?」


「す、すみません!」


そう叫び、詠唱を始めた美しい青色の髪を持つ少女はこの世界では珍しい聖女の力を開花させ人間の国の第3王女でもあり、そして俺の全てを変えた女。


「あぁ! アルったらまたこんな無茶をして! ほとんどの骨にヒビ入ってるじゃない!」


「仕方ないだろ、奴が思った以上にしぶとかったんだから」


そんな言い合いをしていると俺らはとても暖かい光に包まれた。


「逆にそれでも戦えてるってやっぱりすごいよ君は」


「っるせぇ」


全種族の悲願といってもいい魔王を倒すことができ、ほとんどの者は安堵していた。そしてそれが致命的な隙になったのだ。


「逃がすものか!」


その言葉を耳にした瞬間遅れて俺たちにもこの禍々しい気配を察知できた


「貴様らだけは絶対に許さぬ! 一人は我と共に来てもらうぞ!」


そう言い魔王の死体から真っ黒い手が一番近くに俺を襲った


魔王の道連れデス・コンパニオン


「これは……!」


数々の死線を乗り越えたからこそわかる。

これは死そのものだということに


「アルス!」「アルくん!」「アル!」


皆が俺の名前を呼ぶのが聞こえる


「あーあ、これは流石に無理だ」


回避は不可能だと判断し、諦めるしか選択肢がなかった。俺はあいつがくれたペンダントを握り「アロマ絶対幸せになれよ」と小声で呟いた。黒の手が俺を掴もうとしたその時、俺の視界に青色の髪の毛が映った。


(転移魔法っ!!)


「なんで!」と俺が叫ぶと、優しい声で「あなたを愛してるからじゃない」そう言った瞬間視界が黒くそまった



「アロマ!!」と叫び目を覚ますとそこはベッドの上だった


「クソ……またこの夢か」


俺はこの夢が前世の記憶だというのを理解しており、そしてなぜ俺が生きているのかも理解している


何故ならと記憶は残っているのだがこれ以外の記憶を思い出すことができないのだ


そして恐らくだがこのアロマという少女が俺の身代わりになって死亡したから転生したのではないか?というとこまで考えられる。しかしこれだけでは情報が少なすぎて考察のしようがないなと深く考えていると


「ちょっと、どうしたのよ」


と言い俺の部屋に入ってくる一人の少女がいた。黒く美しい髪をし、髪型はミディアムというのに一番近いだろう。美しい青色の瞳を持ったその少女は俺の姉貴のミレイユだ。確か今年で7歳を迎えるはずだ


「また、悪夢でも見てたの?」


「なんでわかったの?」


「アルス、泣いてるじゃないの」


「え?」


そう指摘されるまで気づかなかった。自分が泣いていたという事実に


「とりあえず、今日はもう寝なさい。寝付くまで一緒にいてあげるから」


「わかったよ」


そしてもう一度俺は深い眠りに入ったのだった

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