第11話インターネット老人会の一員、歴史を語る

 インターネット老人会の昔語り、はーじまーるよー!

 

 はい、と言うわけで今回は一部で時々話題になる「インターネット老人会」です!

 

 インターネット老人会はリアル高齢者こそ少ない(いないとは言ってない)ものの当時のリアルを語れる人が少なくなってきたのが悲しいことです。

 

 そこで微力ながらインターネットの歴史を語ろうと思います。

 

 とはいえ私も常時接続から入った新参なので本当の考古学には詳しくないんですけどね……

 

 昔々……と話を始めようかと思ったのですが「常時接続」って何? と思われるかもしれないのでそこから始めましょうか。

 

 古代、インターネットは電話回線で閲覧していました、え? 今もだって? 今の初めっから光回線だった人は知らないでしょうがかつては本当に電極が二個しかついていない文字通りの電話線で通信をしていました。

 

 そこに綺羅星のごとく現れたのがADSLでした。

 

 なんといくら使っても定額以上の料金がかからない! 電話代はかからない!

 

 そりゃあ当時は革命的な技術でした……

 

 私はインターネットを電話回線ではなくケーブルテレビで見ていました。

 

 平たく言えば「いくら使っても定額」の回線のことを「常時接続」と呼びネット廃人達に歓喜をもって迎え入れられました。

 

 現在では光敷設の邪魔になっているADSLですが当時としては凄い技術だったんですね。

 

 そうして常時接続が当然になる少し前にネットデビューを果たしました。

 

 当時のネットは本当に国境が存在しませんでした。

 

 今ではLINEが当たり前ですが当時の最先端はインスタントメッセンジャーでした。

 

 メッセンジャーと言ってももちろんスマホが無い時代なのでPCでやりとりします。

 

 アッオーと変わった効果音で突然英語のメッセージが送られることが本当にあってそこから楽しい会話をすることが普通だったんです。

 

 思えば私のつたない英語力はこれとネトゲで鍛えられたたまものでした。

 

 本当に「当時は世界のどこかにいる誰か」とのやりとりが当たり前の時代でした。

 

 古き良きインターネットにスパムは存在しませんでした。

 何故かって? そりゃあネットで情報を盗んでも換金の方法があまりにも少なかったからです。

 

 クレジットカード番号を今のようにネットでやりとりすることもほぼ無く、誰のものだか分からない個人情報を金で買い取る好事家などほぼいません。

 犯罪集団だって利益にならないことはしない、そうしてねっとは自浄作用が保たれていたのでした。

 

 そしてネットはハイパーリンクというもので繋がれています、さてここで皆さん、リンクが通信容量を圧迫するって意味分かります?

 

 当時の標準HTML4では<a hre=f"なんとか">リンク先名</a>というタグでくくっていましたというか実は今もそうです。

 

 でもみんなそれを意識しなくなりました、それは回線がとても速くなりリンクタグの通信容量など無視してもいいレベルになったからです。

 

 当時、掲示板ではttp://example.comとアドレスのはじめのhを抜いてリンクタグを挿入されないようにしていました(まあ当時は匿名掲示板にURLが貼られたと言う事実を嫌う管理者もいたからと言うのもあります)

 

 せいぜいたった1kbにも満たないテキストデータですらむやみに送ると迷惑になるという時代が確かに存在しました。

 

 そしてテキストサイトと言えばカウンターと言うくらいカウンターの設置率は高かったです。

 

 もしかしたらカウンターって何? と思われるかもしれませんね

 

 コレは読んで字のごとくそのサイトにやってきた人数を数えるものです。

 

 カクヨムに自作をアップしている方なら結構知っているであろうGoogleanalytics、そんなものは存在しません、来訪者が訪れるたびperlなどで書かれたスクリプトがカウントをしていくのです。

 

 何の意味が? 自己満足です。所謂俺のサイトにはこれだけの人が来たぞ! と言う程度の意味しかありません。

 

 いえ、言い過ぎました、カウンターにはキリ番という文化も内包されていました。

 キリ番とは? 文字通りキリの良い数字です100だったり1000だったり333みたいなゾロ目系もありました。

 

 当時は訪れたときキリの良い数字だったら掲示板に書き込んでいってね! というカルチャーが確かにありました、コレを「踏み逃げ禁止」などとも呼んでいました。

 

 そうして草の根活動としてのネットが存在していました。

 

 今も昔も変わりませんが回線の向こうには「人」がいました。

 確かに電話回線の向こうに人格を持った人間の存在が強く意識されていた時代でした。

 

 SNSなどというものは無く、PHPはほぼ使われず時々掲示板にperlが使われているくらいで動的なページすらほぼ存在していませんでした。

 

 一つ、ネト古参と思われたい方への豆知識を書いておきましょう「.htm」を知っているでしょうか?

 

 え? lが抜けてるよって? 当時はファイル拡張子は三文字という常識のようなものがあり.htmlでは一文字多いため.htmと言う拡張子が流通していました。

 中身自体は素朴なHTMLなのですが歴史的経緯としてそんなものが存在していました。

 

 少し時代は過ぎてブラウザにIEとネスケの二強時代からIE,MozillaにOperaが入ってきました。

 

 今の人にはフィルタリング回避のために導入したOpera miniの方がなじみ深いでしょうか?

 

 当時としては画期的な軽さ、マウスジェスチャー等から一部層の熱烈な支持を受け勢力を拡大していました。

 

 しかし諸行無常かな、Operaから時代はFirefoxとChromeへと移ろっていきました。

 

 そして全てを破壊しネットを作り直す存在がやがて現れました、それはAppleのiPhoneです。

 

 そうしてネットには再び国境(歪んだパズル)が引き直され今ではネットは誰もが使うものとなりました。

 

 ここから先はきっと誰かに訊けば答えが返ってくるでしょう、ここ以降ネットは皆のものとなり歴史はPCからスマホをへと移っていくのでした。

 

 コレを読んだあなたがかつてネット上に存在した「人」達のことを記憶の片隅に残していてくれれば幸いです。



 

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