第146話 遠征準備


【CM】

 本日、作者がカクヨムに投稿している「無敵の万能要塞で快適スローライフをおくります ~フォートレス・ライフ~」の第3巻が発売となります!


コミカライズも決定していますので、まだお読みになっていない方は是非!


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 本作「魔剣使いの商人」の書籍化企画も現在進行中ですよ~


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 ギルドから帰宅後、すぐに夕食作りへ取りかかった。

 完成した夕食を食べながらレクシーとケーニルに昼間の流れを説明すると、


「いいじゃない。オーレンライト家だけじゃなく、レイネス家からも信頼されているってことでしょ? ザラはあなたを気に入ったみたいだったけど、きっとそれが当主にも伝わったのね」

「よく分からないけど、アルヴィンのお仕事なら手伝うよ?」


 自身も元御三家令嬢であるレクシーは事情にも詳しいため喜んでくれた。

一方、人間側の事情をあまり詳しく知らない魔人族のケーニルであったが、協力を申し出てくれた。


 ただ、やっぱりふたりもクエストの内容について疑問があるらしい。


「アルヴィンくらい強い人を使って地面を調べるの?」


 ケーニルがカクンと首を傾げながら言う。

 それに、レクシーも同意した。


「ケーニルの言う通りよ。……さっきは信頼されているなんて言っちゃったけど、アルヴィンの実績を考慮したら、調査クエストよりも討伐クエストの方が向いているんじゃないかしら?」

「実際、わたくしたちオーレンライト家はアルヴィンさんがクエストを達成してくださったおかげで助かっていますしね」


 フラヴィアがそう付け足す。

 確かに、最初の方こそ採集クエストに手を出していたが、最近はダンジョン内でのアイテム回収を除けば討伐クエストが一番多い。

 ちなみに、これらクエストほぼすべてに参加しているフラヴィアは、今やすっかり庶民の気持ちを理解するいいお嬢さんに成長していた。彼女が領主となる日が今から楽しみだな。


 っと、話が脱線した。

 

「まあ、向こうからの依頼内容に少し疑問は残るけど、最初にレクシーが言ってくれた通り、御三家のレイネス家が俺を名指しで指名してくれたクエストだ。しっかりとこなすつもりではあるよ」


 俺は改めて正式にクエストを受けることをみんなに告げる。

 さて、明日からまた忙しくなるぞ。

 まずは遠征の準備だな。


  ◇◇◇


 突然決まったレイネス家領地へと旅立ち。

 前回のローグスク王国に比べたら近場だが、遠征することに違いはない。

 馬車の手配やらアイテムの調整は、昨日のうちにギルドでザイケルさんに依頼しておいたので、あとは受け取りに行くだけだ。

 問題は女性陣の準備だが……


「いつでも行けるよ!」


 手ぶらでも大丈夫だと豪語するケーニルだったが、


「いけませんよ、ケーニルさん」


 フラヴィアがそれに待ったをかける。


「ほら、この前買ってきた新しい服をこのバッグに詰めなさい」

「えぇ~。服はこれでいいよ~」

「一着だけなんてダメに決まっていますわ! ……あまりものぐさな態度ばかり取っていますと、アルヴィンさんに嫌われますわよ?」

「えっ……」


 一気にシュンとしおらしくなるケーニル。

 大人しくフラヴィアと一緒に荷物整理を始めたが……あれで戦闘能力は間違いなくこの中でトップだからなぁ。とてもそうは見えないけど。


「アルヴィン様、私とレクシーさんの荷物は積み終えました!」

「おう。報告ありがとう、シェルニ」

「朝から結構な重労働だったわねぇ。到着するまで荷台で寝かせてもらうわ」


 そう言って、レクシーはひと足先に荷台へと移動。


「そういえば、御者の方はいらっしゃらないんですか?」

「ああ、それは俺がやるよ」

「ア、アルヴィン様がですか!?」

「これでも前のパーティーではずっと俺が担当していたんだぞ?」


 忘れたい過去だけど。


「そ、そうだったんですね……あ、あの!」

「うん?」

「私もご一緒にしていいですか?」


 御者が座る場所は、つめればあとひとりくらい乗れる。それこそ、シェルニくらい小柄な子なら余裕だ。

 きっと、景色をよく見たいのだろう。

 こういったところはまだまだ子どもだな。


「おまたせいたしました。ケーニルさんの準備も無事整いましたわ」

「よし、それじゃあ出発しようか」


 店に侵入を防ぐ結界魔法を施して、準備完了。

 俺たちはレイネス家の領地へ向けて旅立った。

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