3話 油に画き氷に鏤む
※注意※ これはSoul Keeper(s)本編 37話と38話の間の話になります。
本編37話まで読んでいただくとこの作品をより一層楽しんでいただくことができます。
「如何にも。彼、「木原 賢治」君には私から
木原は煙の渦の中で叫び藻掻いている。
「頼んだよ…。」
煙とともに消えた。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
煙が掻き消え、中から現れる。
木原の目は別人のようにギラギラとしていた。
「本田、気をつけろ…。奴の能力は…氷。」
木原は手で扇ぐ。
すると、その軌跡からつらら状の棘がいくつもできた。
「
飛ぶ氷の棘。
「
九条は盾を展開し、防御する。
当たった氷はそのまま盾を氷漬けにした。
「…とんでもない冷気。」
「それなら!
本田の皮膚は赤黒く変色し、木原の元へ突っ込む。
木原は地面に手を付く。
「
地面は凍り付く。
だが熱の体を持つ本田には効果がなかった。
本田の歩いた後はアスファルトが若干溶けていた。
「食らえ!!」
本田は熱された拳を当てる。
木原と本田はふっ飛ぶ。
周囲に湯気が立ち込める。
「大丈夫か?」
九条は本田を『proto-Z』の手で受け止めた。
「はい…。」
湯気の向こうから木原が歩いてくる。
ミタマと共に。
そのミタマは目が黒い布のようなもので隠れ、足の裏にはスケート靴のブレードが付いている。
全体的にスピードスケートの選手のようだ。
「あいつ…あれだけの温度のパンチを食らって無傷だ。」
「
木原は足元に氷が纏わりつく。
「
氷が弾けると氷はスケート靴と化していた。
木原はスピードスケートの要領で滑り、九条たちの元へ向かってくる。
「界人さん、浮いててください。」
本田は地面に手を付く。
「ああ、
九条は盾に乗り、本田から離れた。
「培熱…!」
本田の手の付いた場所から地面が急激に熱せられる。
「これであいつも滑れない…。」
九条は呟く。
が、ぐつぐつと煮えたぎる地面の上をスイスイと滑る。
「…どういうことだ…!??」
「何ッ!?」
2人は驚く。
高速で本田に近づく木原。
「フンッ!!!
本田の全身から白い蒸気が噴き出した。
本田は姿を消した。
刹那、木原の目の前に居た。
「!!?」
殴られ、ふっ飛ぶ木原。
「どうなってる!!」
九条は訊く。
「熱体がディフェンスと火力重視の姿だとすればこれはスピードと筋力重視の姿です!!」
木原が速度を増し、土煙から出てくる。
木原と本田は縦横無尽に激しい高速戦を繰り広げた。
九条でもやっと2人の霊力を捉えられるほどに疾く、凄まじい格闘戦だった。
一瞬、本田が動きを止めた。
その隙をつき、本田を蹴り飛ばす。
「ぐあああああああ!!」
ふっ飛んでいく本田。
「大丈夫か!?」
九条は本田に寄る。
「…。」
本田は熱暴走を起こし、動けなくなっていた。
「次は俺が相手だ…。」
九条は構える。
木原は例の如く、高速で九条にパンチをかまそうとする。
が、木原はふっ飛ぶ。
「…俺がこれまでの戦いを見てて無策だと思うな。」
盾だ。
「ッ…!」
木原の拳は血まみれだ。
「
『proto-Z』が変形し、砲台ができる。
「
サメ型のミサイルが飛ぶ。
木原は当然避ける。
が、避けた方向へとミサイルは向かう。
「!!!!」
速度を上げ、逃げるが付いてくる。
そして命中し、盛大に爆発する。
「霊力の自動追尾弾だ。」
黒煙の中で崩れ落ちるたまご状の何かがあった。
氷の壁だ。
「…ハァ…ハァ…。」
木原の足は元に戻っている。
九条はすかさず撃つ。
「はああ!!!食らえ!!」
木原は近づく。
「
自身に迫る弾丸を自動的に出現する氷の壁で防ぐ。
「…チッ。しぶといな…。」
「ハァ…
氷の壁からつららが飛び出す。
九条はすかさず弾丸を撃ち、つららを破壊する。
その一瞬で足にスケート靴を装着し、氷の壁を伝って九条の真横まで来ていた。
「!?」
木原はすぐさま背後まで移動し、蹴りを放つ。
九条は盾で防御していた。
盾と氷のブレードの鍔迫る音がこだまする。
「フンッ!」
すかさず九条はもう1つの盾で攻撃する。
木原は避ける。
「
軌道を変え、拳が木原に命中する。
少なくとも10tはあろう衝撃を受け、ふっ飛ぶ木原。
が、10mほどふっ飛んだところで立ったまま着地する。
「何だ…その姿…。」
氷の壁とミタマ、そして氷のスーツで衝撃を吸収し、ダメージを最小限にしていた。
「
胴体だけを覆っていた氷のスーツが全身を覆う。
ミタマと似た、空気抵抗を極力廃したスーツだ。
キュキュと音を立て、目にも止まらぬ速さで九条の背後に居た。
「
九条と本田に触れ、そう言った。
九条は攻撃しようと体を動かそうとする。
しかし動かない、微塵も。
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