第94夜 怪物
小さい頃から海辺の町に住んでいます。
保育園年長くらいの頃、近所の友達と海岸で貝や流木を拾って遊んでいると、岩場になっているところから怪物が出てきたんです。
それは大人の男性くらいの背丈で、ぶくぶくと太って青黒い色をしていて、まるで特撮映画に出てくる怪獣のような見た目をしていました。
怪物は岩場からのそのそと歩いてこちらに向かってきたので、僕と友達は一目散に逃げました。
家に帰り着いて、母親に
「海で怪物を見た」
と泣いて訴えましたが信じてもらえず、野生動物か何かと見間違えられたんだろうと言われました。
大人になり、20歳になったばかりの頃、近くの海岸に水死体が上がりました。
警察が来るまでの間に野次馬が集まり、僕もそれに混ざりました。
その場にいた知り合いのおじさんに
「気持ち悪いから見ない方がいい」
と止められたのですが、こっそり見てしまったんです。
その姿は、あの日見た怪物そのものでした。
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