第95夜 嘘

今から数年前の話です。

友人が車を買ったので、ドライブに行こうということになりました。

深夜に真っ直ぐな国道を男4人でドライブしていたのですが、ついイタズラ心が湧いて、僕は運転している車を買った友人に

「この道、出るって有名なんだよ。夜にこの道を新車で走っていると、髪の長い女が後ろから猛スピードで追ってくるんだって」

と言いました。

運転手の友人は

「そういうのやめろよー」

と笑っていましたが、チラッとバックミラーを見るとアクセルを思いっきり踏みました。

その尋常ではない様子に、

「どうした?」

とみんな聞きましたが、運転手の友人は何も言わず、スピードをどんどん上げていき、赤信号も無視して飛ばしていました。

「おい!危ねーだろ!何やってんだよ!」

と僕が怒鳴ると、

「ドンッ!」

と車に衝撃が走りました。

後ろを振り向くと、車の後部に髪の長い女が張り付いていて、リアガラスに頬をピッタリとつけ、こちらを覗いていました。

「うわあああああああああ!」

と僕ら全員が叫び声を上げたところで、車は中央分離帯に衝突し、僕は記憶を失いました。


気が付くと、病院のベッドの上で、僕以外の全員が亡くなったことを告げられました。

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