第28夜 Kの奥さん
数年前の話です。
同僚Kの奥さんが亡くなりました。
忌引きを終えて、Kは出社しましたが、すごくやつれていました。
「大丈夫か?まだ休んでた方がいいんじゃないか?」
僕が声をかけても、ボーッと僕の顔を見つめるだけで返事もしませんでした。
見かねた上司がその日は帰らせたんですが、次の日から無断欠勤が続き、結局そのまま会社を辞めてしまいました。
「よほど奥さんが亡くなったのがショックだったんだろうなぁ……」
と僕は思っていました。
ある日、同じ課の後輩と2人で呑んでいると、後輩がKについて話し始めました。
「誰にもこの事は言ってなくて、Kさんと仲の良かった先輩にだけはと思って言うんですけど……」
と前置きして後輩は教えてくれました。
「他の誰にも見えてなかったみたいなんで、見間違いだと思い込もうとしたんですけど、どう考えても見えてたんです。Kさんの肩にしがみつくKさんの奥さん。……すごい顔してたんですよ。髪の毛はボサボサで、目がつり上がって、Kさんを睨みつけてるんです。Kさん、奥さんに何したんでしょうか」
ちなみにKの奥さんの死因は、自殺でした。
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