第24夜 甘い匂い

友人から聞いた話です。


友人はキャバクラで働いていました。

そのキャバクラには不動のNo.1のキャバ嬢Mさんがいたそうです。

Mさんはいつも甘い独特な匂いのする香水をつけていました。

その香水は、Mさんのお客さんの中で一番お金持ちの社長さんに貰った海外のお土産でした。

その社長さんはMさんに結婚の話を持ちかけていたようで、Mさんは控え室でいつも嬉しそうにその香水を振りかけていたそうです。


ある日、友人が出勤すると、店長やスタッフが大騒ぎしていました。

何があったのか先輩に聞くと、なんとMさんが自殺したと言うのです。

Mさんの携帯に遺書が残っており、社長さんが既婚者で子供もいたこと、裏切られて人生に絶望したことなどが書かれていたそうです。


それからもその社長さんは店に来ていたそうなのですが、社長さんが来る度にあの甘い匂いがしたんですって。

Mさんの香水の匂いが。

社長さんのテーブルについた子が

「いい匂いですね。何か香水付けてるんですか?」

って聞いたら、

「最近よく言われるんだけど、何も付けてないんだよね。柔軟剤の匂いじゃない?」

と言われたそうです。


Mさんの香水、『クロッカス』という花のエキスを使っているものだったそうです。


クロッカスの花言葉、知っていますか?

『青春の喜び』『あなたを待っています』『切望』などのポジティブな花言葉もありますが、怖い花言葉もあります。


それは、『私を裏切らないで』です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る