第21夜 コックリさん
私が小学4年の時、学校でコックリさんが流行っていました。
その日も放課後、クラスの仲の良い女子3人とコックリさんをやろうということになりました。
すると、教室にたまたま残っていたYちゃんという子が自分もやりたいと言い出しました。
Yちゃんは大人しい子であまり話したことがなかったのですが、
「一度やってみたかったの。お願い!」
としつこく言うので入れてあげることにしました。
私たちは、余ったプリントの裏に「はい」「いいえ」、その間に鳥居、その下に五十音、数字を書き、十円玉を鳥居の位置に置きました。
十円玉にみんなで人差し指を置き、コックリさんは始まりました。
コックリさんを呼び出すのも慣れたものでした。
それから1人づつ聞きたいことを質問をしていきました。
質問は小学生らしいもので、好きな子は誰が好きかだとか、明日の運勢はどうかだとか、かわいらしいものでした。
そして、Yちゃんの質問の時、異変は起こりました。
Yちゃんは
「私は将来、どんな人になっていますか?」
と質問しました。
すると十円玉は、鳥居の周りをぐるぐると回り始めたのです。
その場にいた全員が顔を強張らせていました。
コックリさんに帰ってもらう前に1人でも十円玉から指を離すと呪われてしまうと言われていたので、私は逃げ出したい気持ちをぐっとこらえていました。
やがて十円玉は回るのをやめ、文字を指し示しました。
き、よ、う、し、ぬ
「きようしぬ?……今日死ぬ!?」
Yちゃんは青ざめていました。
「それはなぜですか?」
とYちゃんが訊くと
の、ろ、い
と十円玉は動きました。
その瞬間、Yちゃんは弾かれたように十円玉から指を離し
「いやあああああああああ!」
と叫びながら、教室から走って出て行ってしまいました。
私たちは急いでYちゃんのあとを追いかけました。
すると、階段の方からドダダダダダダ!という音が聞こえ、悲鳴があがりました。
Yちゃんは階段の下で倒れて動かなくなっていました。
首と手足の骨がおかしな形に曲がっていました。
直感でYちゃんが死んだとわかりました。
私たちはしばらく呆然としていましたが、一緒にコックリさんをしていた一人のMちゃんがワァァ!と泣き始めました。
「からかってやろうと思っただけなの!仲良くないのに急に入ってきたのが嫌だったから怖がらせてやろうって!でもほんとに死ぬなんて!どうしよう!」
MちゃんはYちゃんのお葬式にも来ず、学校にも来なくなり、次の学期には転校していなくなってしまいました。
コックリさんは軽い気持ちでやってはいけないのだと思います。
言葉には強い力がありますから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます