第11夜 風呂の鏡

友人Kには本当に悪いことをしたと思っています。


Kがいなくなった日、俺はKのアパートに泊まりにいっていました。

Kが先に風呂入れよと勧めてくれたので風呂に行くと、浴槽の横の鏡が外されて、裏返して立てかけてありました。

「何で鏡外れてんの?」

と風呂からKに声をかけると

「風呂入ってる時に何か映ったら嫌じゃん」

と言っていました。

俺は怖がりだなぁと思い、Kを脅かしてやろうといたずら心が芽生えました。

風呂から出る時に、鏡をひっくり返しておいたのです。

何食わぬ顔で風呂から上がると、Kは着替えを持って風呂に向かいました。

Kが風呂のドアを開け閉めする音がして、すぐにシャワーの音が鳴りはじめました。

そして、

「ぎゃあ!」

というKの悲鳴が聞こえました。

俺はそれを聞いて笑い転げていました。

風呂からKが帰ってきたら、散々からかってやろうと思っていました。

ところが、30分経っても1時間経ってもKは風呂から出てこず、シャワーの音がずっと聞こえていました。

さすが心配になり、風呂のドアをノックして

「大丈夫か?」

と声をかけましたが、返事がありません。

俺は異変を察知して

「おい!大丈夫か!?開けるぞ!?」

と言いながらドアを開けました。

そこにKはおらず、ただシャワーからお湯が流れ続けていました。


それからKは行方不明のままです。

俺は自分の家の風呂の鏡を外して、クローゼットの奥にしまっています。

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