第6夜 ロボット掃除機

この前、友人Aの家で大学の同期が集まって新年会をしました。

いい感じにお酒と料理を楽しんだ後、Aが嬉しそうにロボット掃除機を見せびらかしてきました。

「冬のボーナスで買ったんだよ。すげーだろ」

Aは得意げに話し、掃除機を起動させました。

掃除機は10畳ほどのワンルームの部屋中を掃除し始めました。

酒に酔った私たちは、わざと掃除機の前に立って邪魔をして遊びましたが、高性能なロボット掃除機は見事に障害物を避けていきます。

「センサーが付いてるから、人とか家具とかを避けてくれるんだ」

とAは言っていました。

ロボット掃除機がキッチンの方に向かうとAが

「でもちょっとおかしいんだよ。見てみ?」

と指差しました。

キッチンのシンクの前でロボット掃除機は止まり、まるでそこに何かがあるかのように避けました。

「いつもシンクの前だけ避けちゃうんだよ。なんか変な電波でも出てんのかなぁ」

Aが不思議そうにしていると、友人Bが、あのさ……と小さい声で言いました。

「俺、ちょっと霊感あるんだけどさ」

Aの顔が引きつるのがわかりました。

「何だよ?俺の部屋、なんかいるのか?」


「シンクの前で女が死んでる。手首切って、シンクにずっと血が流れてる」


Aはそれからすぐ、その部屋を引っ越しました。

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