NINE ラーメンとカレーならどっち?
僕と
値段もそこそこだしドリンクバーでしばらく憩いのひと時を送ることができるから。けれども縁美は時折日常とは異なる場所を選びたがる。
「
「ラーメン? うーん。ピンとこないなあ」
「あれ?蓮見くんラーメン嫌い?」
「嫌いじゃないけど、ファミレスにだってラーメンあるし。それに」
「ん?」
「ラーメンとかをまるで職人芸みたいに扱うのがちょっと抵抗があるんだ」
「ふーん。じゃあお寿司ならば職人?」
「いやそうじゃなくて・・・食事ってつまり日々のことだよね」
「もちろん、そうだよね」
「だからさ。縁美がいつも作ってくれるお弁当とかふたりして晩とか休みの日に一緒に作る料理とかだって同じようにきちんと作ってるわけじゃない」
「うーん。じゃあ蓮見くん」
「ん?」
「カレーは?」
ん?
「カレー?」
「そう。ほら、ずっと前に一緒に食べに行ったインド料理屋さんがあったでしょ?」
「ああ。あのタンドリーチキンがすごくおいしかった店」
「うん。それで、出てきたカレーが何種類もあってナンもすっごくおおきくって」
「そうだったな・・・確かにあれは本場のインドのシェフじゃないと作れないね・・・でも縁美。あれだってインドの家庭でつくってるわけだろう?」
「うーん。蓮見くんは料理人に何か恨みでもあるの?」
「ないない。そうじゃなくって、料理にアマチュアとかプロとかそういう区別をするのが余り意味がないことなんじゃないかなって」
「そんなこと言ったら食べ物屋さんはみんな潰れちゃうよ」
「つ、つまりさ!」
「う、うん」
「僕は縁美が作る料理が決してそういうお店の料理に引けを取るものじゃないって言いたいんだ」
「わ・・・蓮見くんが開き直った」
「違うかな?」
「うちの料理はわたしと蓮見くんの合作だよ?」
「だ、だからさ。僕たちの食事はおいしい、って思って作ってるし食べてるわけだろう。だから・・・わざわざお店で食べる必要もないだろう」
「じゃあ、ファミレスは?」
「あれはつまりご飯食べてドリンクバーでのんびりとおしゃべりでもするためのものだろう」
「なら、蓮見くん」
「うん」
「今夜はご飯作るの疲れちゃった」
はっ。
「・・・じゃあ。そのラーメン屋さん行ってみるかい?」
「蓮見くん。カレー屋さんのタンドリーチキンもいいよね」
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