第30話 希望の光
ロメイとウーヴェが来た日の次の日、スクエは、どうすればこの状況を打破出来るか考える。
「六人のリプレス……」
スクエを追っているのは現在、ロメイとウーヴェ、そしてウーヴェの部下の合わせて六人だ。
「グロックみたいに倒すのは無理……そうなると、また何かを考えないとな……」
取り敢えず、スクラップ場に何か、良い物が無いか探す為に歩き回るスクエ。
「今日はかなり奥まで行ってみるか」
一応、一通りはスクラップ場を回ったスクエであったが、じっくり見た訳では無い様で、改めて見て回っている。
「身体能力では絶対勝てない──だけど、結局は物理的に倒すしか方法が無いしな……」
ここが以前居たスクエの世界であれば銃などと言う武器があるが──結局はスクエ個人で手に入られる様な物では無かっただろう。
「何も良い案が思いつかねぇ……」
周りを見てもジャンク品の数々があるだけで、スクエの知識ではとてもじゃ無いが有効活用する事は出来ない。
「良さげな罠になりそうな山もねぇーな……」
ジャンク品の山自体は数え切れない程あるが、グロックを倒した様なローラーみたいに重量感がある物が上に積み上げられている山は無い様だ。
そして、流石に歩き疲れたスクエは日陰になっている場所に座り込む。
「どうにかして、打開策を見つけないと……」
自前で作った水筒を取り出し、残り少ない水を飲み干す。
果たして打開策なんてものが有るのか疑問に思ってしまう。
「ここに居てもしょうがないし、探すか……」
再び、正解の無い探し物を見つける為立ち上がろうとすると、やはり昨日の疲れが残っていたのか、バランスを崩してしまうスクエ。
「──おっと……」
咄嗟に近くの物にに手を添えて自身の身体を支える。
「やべぇ……」
どうやら、身体を支えた様と手を添えた場所はジャンク品の山だったらしく、山が崩れる。
「──ッひぃ!」
素早く移動して崩壊する山から離れたスクエ。
「あぶね……油断していると、俺までグロックみたいになるな……」
大きな音を立てて崩れた山を見たスクエだったが、崩れて来た山の頂上から最後に何かが転がって来た。
それを見たスクエは身体が固まる。
「──ッ?!」
一体どうしたのだろうか。
その転がって来たのは、このスクラップ場からしたら、ごく当たり前にある物であったがスクエ個人に取っては、タダのジャンク部品では無かった……
「……ノラ?」
そう、ジャンクの山から転がって来たのはノラの頭であった。
その頭はグロックとロメイのせいでボコボコにされ顔の半分がベコベコに凹んでいた。
「アイツらにやられたんだよな……」
頭部だけになったノラをそっと拾い上げるスクエ。
「ノラを壊した犯人の一人は倒したぜ……」
聞こえる筈が無いがスクエはノラに話しかける。
「あと一人、居るけど──はは、流石に倒せそうに無いな……」
ロメイ一人なら、なんとかなったかも知れないが、六人相手は無理だと悟っているスクエ。
「なんの慰めにもならないけど……」
スクエはノラの頭を安全な場所に置くと──先程崩れて来た山から何かを探し始める。
「せめて、墓でも作ってやらないとな──ここに来て、唯一優しくてしてくれたリプレスだし」
付き合いとしては、とても短い間柄であった二人だが、スクエにとって、この過酷な異世界で優しくしてくれたのはノラだけであった。
その恩返しをしたいのだろう、ノラの残りのパーツを探す為にあちこち探し回る。
「えーっと──お?! これノラの腕ぽいな」
数あるジャンク品の中からノラの腕らしき物を見つける。
近付いて見ると、身体部分はジャンク品に埋もれており、腕だけが飛び出している状態であった。
スクエは周りの邪魔な部品を、退かしてノラの身体部分を掘り起こす。
「これは大仕事になりそうだ……」
周りにある部品だけでも相当な数がある為、大分時間が掛かりそうであった。
だがスクエは気合を入れて邪魔な部品を退かしていく。
そして、やっとの思いでノラの身体を取り出した時は既に辺りは真っ暗になっていた。
「ふぅ……疲れた……後は、見晴らしの良さげな場所にでも埋めて上げるか」
スクエは疲れ果てて地面に座り込んでいる。
その側には先程拾い上げたノラの顔と身体が置かれていた。
顔とは違って体の方は見た目上に何か損傷は見られず綺麗な物であった。
「取り敢えず、埋めるのは明日にして──家まで運ぶか」
ノラの身体を背負い、頭を片手で持つとドラム缶の家まで、ゆっくりと運んだ。
「明日、見晴らしの良い所に埋めてやるからな」
丁寧にノラの頭と身体を地面に下ろす。
すると、一瞬だがノラの身体が光った様に見えた。
「ん?」
一瞬であった為、スクエの勘違いか、もしくは夜空に浮かぶ星や月などに反射したのか、ノラの身体が発光した。
「今、確かに光ったよな?」
スクエはノラの身体を調べる為うつ伏せにしようと動かすと、どこからともなく、ノラの体から丸く丸められた紙と、黒いチップの様な物が落ちて来た。
「なんだこれ?」
まず、チップの様な物を拾い上げて見るが、それが何かは見当も付かない様だ。
続いて、丸められた紙を開けて見る。
「これは……設計図?」
スクエが広げた紙には、何かの設計図が描かれていた。
「これ、もしかしてノラ自身の設計図か……?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます