第24話 スクエ罠を作る
朝になり、太陽の光がスクエの顔を照らす。
「……起きるか」
決して良い目覚めとは言えない状態のスクエ。
昨日は簡易的な寝床を作っただけで夜になってしまった。
スクエは簡易式の家から出てきて伸びをする。
「それにしても、まさかスラム街にリプレスのあの二人が来るとはな……」
来る可能性はあったにしても、まさかあんなやり方を取るとは思っていなかった様だ。
「子供狙うのはダメだろ……」
もちろん、子供以外もダメだがリプレス二人は子供に対して暴力を振るうのを躊躇する様子は無かった。
「リプレスってあんな危ねぇー考えを持つ奴ばかりなのか?」
スクエが深く関わった事があるリプレスはノラだけである──そのノラはリプレスの中でも変わり種の為参考にならないと言っても良いだろう。
「アイツらは、いずれ此処にも来るのかな……」
スラム街に来る可能性は確かに有ったが、ここは人間とは全く関係の無い場所である──しかもリプレス達の墓場とも言われている場所にわざわざ来るであろうか?
「だ、だけど何か対策は取っといた方がいいのは確かだよな──」
何やら決心したスクエは握り拳を作り、自身に気合を入れる。
「アイツらが来た時の為に撃退する罠でも作ってみるか」
スクエは思い立って直ぐに行動を始めた。
「先ずは、部品集めだな──ここなら凄そうなのが幾らでも作れそうだぜ」
周囲を見回すと、所狭しと積み上げられたリプレス達の慣れの果て──部品パーツ──が積み上げられている。
「難しい罠なんてどう作って良いか分からねぇーからな……」
とりあえず何か無いか歩き回るスクエ。
このスクラップ場は広大な為何かあるのではと思いじっくりと見回るスクエ。
「お?」
何かを見つけた様子だ。
「これは……いいかもな……」
そこで見つけたのはリプレスの片腕であった──しかし普通の腕では無く手の部分が刃物になっていた。
スクエはその片腕を拾い上げて、刃物部分だけ取り外そうと試みる。
「取れねぇ……」
思いっきり力をいれて取り外そうとしても無理だった為、スクエは腕を持って刃物との繋ぎ目部分が地面に当たる様にと叩き付ける。
「一度ダメなら何度でも!」
ガンガン地面に叩きつけ、何度目か分からない頃に腕部分と刃物が取り外れた。
「頑丈過ぎるな──リプレスってこんなに硬いのかよ……」
この世界の技術がスクエの以前居た日本より大分進んでいるのが分かる。
やっとの思いで刃物を手に入れたスクエは拾い上げた刃物を持って、また何か無いか探し回る。
「これを手に入れたのは良いけど、こんなんで、あの二人をどうこう出来るとは思えないんだよな……」
他に何か無いか見て回る。
「何か、重い一撃を与えられる様な罠が欲しいよなー」
スクエはひたすら歩き続けていると、何やら音が聞こえる──そして振り向いた瞬間──
「──ッ!? 危ねぇ!」
つい一瞬前までスクエが歩いていた場所にジャンクの山が崩れて来たのだった。
「おいおい──少しでも歩くのが遅かったり立ち止まってたら生き埋めになってたぞ……」
高く積み上げられて居たジャンクの山が崩れて来た事により、次は低いなだらかな山になって居た。
「……待てよ」
崩れて来たジャンク品の山を見つめて居たスクエは何やら思い付いたのか目を見開き、口元を緩める。
「これだ! ──これで行けるはず!」
スクエはあのリプレス達をどうにか出来る手を思い付いたのか、とても嬉しそうだ。
そして、再び歩き始める──先程までは下ばかり見ていたスクエだったが今は上を見ながら歩き回る。
「お、アレは高そうだ──けど威力は無いな……」
どうやら、次は目的があって色々と探している様で、先程より歩くスピードが早くなる。
その後も歩き続けると、遂にスクエが想い描くジャンクの山を見つけた様だ。
「これだ……コレなら行ける!」
そこには、高く積み上げられたジャンク部品の数々──そして山の上の方では重機型のイナメイトなのか、コンクリートなどを馴らす為の大きなローラが山の天辺に積み上げられて居た。
「コイツをリプレスの上に落とせば、どうにか出来る」
そのローラはどう見ても重さ100~300キロは有るであろう程の大きさだった。
「よしよし、次はどうやってリプレス達の上に落とすかだよな……」
罠の土台を見つけたスクエは、次にローラを落とす方法を考える。
「石とかを投げて崩す事は出来るけど、絶対に崩れるかは怪しいよな……」
試しに、離れたジャンクの山に石を投げつけて見ると崩れる山と崩れない山があった。
「この見つけた山が、どれくらいガッチリ組まれているか分からないんだよな……」
試しに石を当てたいが、それは出来ない。
また、いつ、あのリプレス達が来るか分からない為、なるだけ早く罠を完成させとく必要がある。
「まずはこの罠を完成させる!」
そして、スクエはどうやって崩すかだったり、どう誘い込むかだったりと色々思案し始める。
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