第一章
第一話 巡り逢う
--そんな、一体この人はどうしてここへ?
--結界だって幾重にも張ってあるはずなのに・・。
「・・・急に入ってきたりしてすまない。だけど、こんな場所に屋敷があるなんて聞いたことがないし、不審な人物がいれば報告する義務があったから。」
「あ、あの・・。」
「俺は
「・・・。」
「急に女性の部屋に入ってきて名前を教えろとか図々しいのは承知している。俺もこんな場所があるなんて知らなかったし、正直、どういうことなのかまだ頭が追いついていない。」
凪様がそう言いながら
ただ、女性への非礼を
「・・桜。サクラと書いてオウ。」
「桜・・。君はここで何をしているの?」
そう言うと凪様は私から少し離れたところへ腰を下ろした。
「あ、えと、笛を少し。」
「一人で?」
私はぎこちなく
「ふぅん・・。」
凪様は溜め息混じりに少し疑った視線を私に送った。
--どうしよう、まさかここに
「・・まぁいいか。ここの敷地は広いし、こんな外れた場所まで来たことは今までなかったから。それに、見たところそんなに怪しい人物でもなさそうだ。」
凪様がちらりと私の方を見やって
だけど、どうしてなのかそれ以上私を追及することをやめたようだった。
「そうだ。桜、よければ君の持っている笛と一曲お手合わせ願えないかな?」
「え?」
「俺も
突然やってきてしかも突然音合わせがしたいとか、強引すぎるけれど・・・。
久しく人と会うこともなく一人で過ごしてきた私にとってすごく嬉しい提案だった。
「私でよければ、是非。」
私は
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