第8話 気になる

      【藤代くん視点】

「……」


 なんか白井さんがすごい真似してくるんですけどー!

 ペンを取る動作から置く動作まで真似してくる。

 最近流行ってるのか?


 「……何で真似するの?」

 「べ、別に真似してないわよ!」

 「……え!?」


 なんだ……、ただの勘違いだったのか。

 いやいや、そんなわけない!

 明らかに真似してるぞ……。


 「あのー、真似しないでくれる?」

 「だから、真似してないって言ってるでしょ!」


 き、切れた!?

 僕なんか悪いこと言ったか?

 悪いのは明らかに白井さん…。

 て、えーーー!!

 なに、なに、なに!?

 今度は僕の筆箱漁りだしたぞ!?

 意味が分からない!

 こうなったらもう、はっきり言おう!

 僕は屈しないぞ!


 「さっきから何なんだよ!」

 「あ、いや、それ私の消しゴム……」

 「……え?」


 はいー!?

 どうして白井さんの消しゴムが僕の筆箱に入ってるんだよ!

 明らかにおかしいだろ!

 え、これもしかして悪いの僕?

 謝ったほうがいいよな……。


 「えっと、勘違いしてごめんなさい」

 「い、いいのよ。あはは」


 許してくれた!

 やっぱり白井さんは優しい人なんだな!

 だけど、真似してた理由は何だったんだろ。



      【白井さん視点】

「……」


 ふふふ。人の真似をすれば自然と仲良くなれるらしいわね!

 早速、実践よ!


 「……何で真似するの?」

 「べ、別に真似してないわよ!」

 「……え!?」


 き、気づかれたの!?

 でも、これで藤代くんと仲良くなったはずよ。


 「あのー、真似しないでくれる?」

 「だから、真似してないって言ってるでしょ!」


 ななな、何で私切れてるのよ!

 ま、まずいわ。これじゃ、藤代くんに好かれるどころか嫌われちゃうわ!

 ん? あの消しゴムって私のじゃない?

 何で藤代くんが持ってるの?

 ここはこっそり筆箱を漁って……。


 「さっきから何なんだよ!」

 「あ、いや、それ私の消しゴム……」

 「……え?」


 わわわ、気づかれてしまったわ。

 どうしよう…。

 藤代くんも怒っちゃったし。

 これは素直に謝らなくちゃね。


 「えっと、勘違いしてごめんなさい」

 「い、いいのよ。あはは」


 先に謝られてしまったわ。

 何か気まずい空気になっちゃったけど、これは藤代くんと仲直りして仲良くなったってことよね!

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