見えない尻尾

君と逢うのはいつも深夜だった

白い息 頬の痛み

寒さの中に身を置いて もうどのくらい待っただろう


馬鹿だと思われてしまうだろうか

もう終電も行ってしまったのに 何をしてるのだろうか


携帯が鳴って もう少しで着くと君の声

「大して待ってないよ」と嘘をつく

どうして くだらない嘘をつくのかすら

もう見えなくなっている


そんな事はどうでもいい

理屈なんか 知らなくていい


ずっと向こうで 軽く手をあげる君

尻尾をちぎれるほど振っている自分

見せないように頑張っている


そんな自分も 嫌いじゃない

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