第7回 数字の1について考えること
ここで一つの思考的な問題を提案いたしましょう。
「数字は1から生まれたのか。それとも、2以上(複数)があったから1が生まれたのか」
もう少し分かりやすく説明してみると、つまり・・・・
えっと・・・・・・・・・・・・・
そうですね。
例えば目の前にリンゴが1個あったとしましょう。あなたはそれが「1個」のリンゴだと認識することができますが、もしもはじめから世界にリンゴが一つしかなかったとしたら?私たちの祖先はそこに2以上の複数という認識は生まれなかったとは考えられないでしょうか。
そのように考えると、数字の1とは、2以上の数があったからこそ存在しえたかもしれないといえます。
今回はそんな「2があったから1がある」という考え方のもと言葉と人間について考えてみたいと思います。
(ちなみに皆さんはどう思いますか?1と2、どちらが始まりなのでしょうね?まぁ、どうでもいいですかね?ハハッ!)
「2があったから1がある」
これは「人間、個性、個人」について考えるときに新しい見方をくれる道具になります。まずは人間から。
みなさん、人間という言葉、漢字についてまじまじと考えたことはありますか?
私もこの年になって初めてその字をじっと見つめて思ったのですが、この「間」って何でしょう?
空間の間でもあり、間合いの間でもあり、間違いの間でもある。でもその大方の意味は「あいだ」。二つの物のあいだにできた隙間のようなものです。
では人のあいだって何でしょう?
だいたい人という字は・・・・あぁ、そういえば人という字は互いに支え合う様だとかの有名な先生も仰っておりましたね。
ではここで改めて考えたいのは「人間」という字が表す意味の範囲についてです。人間という言葉が表すのはまさしく私たちのことですが、果たしてそれは私個人のことを意味するのでしょうか?
ほんとうに「1人の人間」という言葉はあっているのでしょうか。
※「人間」という言葉が生まれてからだいぶ時間が経っていることを前提に、言葉の使い方を改めるべきということを説いているわけではありません。
ここで冒頭の「2があったから1がある」という考え方に照らし合わせてみると、人間というものは1人ではなく、複数人のことを指すのでしょう。
ここまでは当たり前といえば当たり前のことでしょう。今更言われることではありません。
では、続いて「個性、個人」の「個」という字について考えてみます。
個という字はなんとも不思議です。
にんべんに固めると書いて「個」なのです。まるで細胞の集合体が一体の生き物であるように、1をイメージさせる言葉自体が2以上の複数であることを意味しているなんてなんだかおかしな話です。
それではこの「2があったから1がある」の考え方に沿って見てみると、個人も個性も共に1人の人間の内に自ずと生まれるものではないと言えます。
そういう意味で考えると個人の「個」と孤独の「孤」は見分けがつく気がします。
うむ、これ以上2だの1だのといっても意味がないような気がするのでいい加減まとめに入ります。
私は常々「個人の個性を活かす」という考え方に対して、個性ってなんだよと思っておりました。私自身、個性があるのかないのかよくわからないですし、あなたの個性って何?、と聞かれれば「?」と返すような人間です。
ですので、闇雲に個性、個性、と言うのは良いことなのか。個性が何なのかわからないという人からすれば、答えのない問題を突き出されているようなものですし、最悪自分には個性がない、つまらない人間だと勝手に思い込んでしまうかもしれません。
しかし、最近になって私も個性というものはそう難しいものではないのかもしれない。むしろ個性だの性格というものはただのまやかしに過ぎないのかもしれないと、こうして言語について想像を巡らせるうちに思うようになったのです。
そこで、こう考えてはいかがでしょう。
個性なんてものは集団内における自身のあり方や考え方の違いであって、一人で思い悩んだって生まれはしないんだと。そんなあるかどうかもわからないものに頭を使って部屋に引きこもるくらいなら、外に出て誰かと影響し合えばいい。
なに、深い関係を結ぶ必要なんてないんです。そこらのお店でコーヒーを注文するときの喋り方、表情、相手の言動を自身にどう落とし込むか(好意的にとるか悲観的にとるか)、これらすべてがあなたという個人の個性を表す一要素なのです。
だってそこに2があれば、自ずと1が生まれるのですから。
今回のお話はここまでとします。
若い時ほどこの個性という言葉には翻弄されがちかちですし、悩むことも大事ですが、どうせなら誰かにその悩みを打ち明けてみるのもありかもしれません。三人寄れば文殊菩薩(知恵の神様)の知恵も借りられるようですから、二人寄れば個人の知恵という感じでうまくいくかもしれませんから。
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