第5話 同じ眼の女の子

「俺のステータスが上がってる......?」


俺はとても驚いてしまった。生涯において上がることの無いとされていたステータスが上がったのだ。誰でも驚くだろう。


試しに体を動かしてみる。いつもよりも身体が軽くなり、筋肉がついたようだ。



— Lvが上がるとステータスも上がるのか……技の熟練度や技の解放にも繋がるから一石三鳥だな……



そんな事を考えながらウインドドラゴン討伐の証である鱗を綺麗に剥ぎ取り、イカサマをしたと思われないように、一応頭を持っていくことにした。



ギルドに戻ってから受付でウインドドラゴンの鱗と頭を見せた。



「え!?これ!本物じゃないですか!!?どうやって倒したんですか!?」


「いやぁ、普通に剣で切り裂きましたけど…‪…」


ギルドの職員はとても不思議そうにしていたが無理もないなにせ、最弱眼がウインドドラゴンという化け物を倒したのだから。


討伐完了の印を押してもらい、俺は報酬を受け取った。そして帰ろうとした時、



「おい!騙されちゃあいけないぜ!こいつがウインドドラゴンなんて倒せるはずねぇじゃねぇか!」



野次馬からテンプレのような文句が飛んできた。あんなに頑張って倒したのにそんなこと言われたら腹が立つ。



「俺が倒したに決まっているでしょう?逆にそれ以外の証拠でも?」



と不気味な笑みをしながら、嘲笑してやった。すると、案の定相手は憤怒した。



「生意気な口聞くじゃねぇか?俺と戦って勝ったらその証拠にしてやるよ……!!」



まさに今から負ける奴の言葉だな、そう思いながらせっかくなので挑発に乗ってみることにした。



「分かった。」



なにせ、俺には火神紅蓮乱舞も先程熟練度が上がったからもう一回撃てるはず……?



— 熟練度が上がっても確定で回数が上がるわけじゃないのか!?



まずい、いくら俺のステータスが上がったからとはいえ、こいつは色眼だ。十中八九負けてしまう…



「この野郎!!調子乗ってんじゃねぇぞ!」



— まずいまずい!このままだと俺はまたバカにされてしまう!もうバカになんてされたくないのに……っ!



【スキル】土の加護を剣に付与し、大地を割る強さを持った剣で俺に振りかかってくる。

俺は必死にそれを受け止めようとした。だかその時だった。


「ちょっと待ったーー!!」


いきなり大声がしたと思うと、フードを被った華奢な女の子?がギルドハウスの2階から叫んでいたのだ。



「ウインドドラゴンの首の切れ筋と最弱眼君の剣筋が一致するはずだよ!そんな無駄な争いする事は無いと思うよ!」


そう言われギルドの人と確認したがやはり一致した。


「クソっ!今回は仕方ないからそう言うことにしてやる。だがな!俺達は最弱眼が倒したなんてこれっぽっちも考えてねぇからな!」



危なかった…‪今回は正直に危なかった。助けてくれた女の子にお礼がしたいな。


そうすると何故かフードの子は自発的に僕の元によって来て僕を引っ張っていく。



「ちょ!いきなりなんですか!?」



ギルドハウスを抜けて人気の少ない所まで引っ張られた。一体なんだと言うのか。



「あのもしかして、君にはスキルにLvMAXの項目があったりするかな?」


なんだろう。一体まぁ、隠すことなんてないし教えるか。



「あるけど、どうして?」



その子はフードを取ってこう言った。



「私のLvMAXの項目の物を一緒に探して欲しいの!」



その女の子はとても綺麗で美しかった。でもそれ以上に驚いたのが……



「俺と同じ……眼?」



最弱眼の白色の女の子だったのだ……

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