第147話『ミリーの頼まれごと・3』
オフステージ(こちら空堀高校演劇部)147
『ミリーの頼まれごと・3』ミリー
あくる日の昼休みにSさんの話を聞いてあげることにした。
きのう、あのまま聞いてあげてもよかったんだけど、あのバタフライ効果の状況では気持ちにバイヤスが掛かってしまって、Sさんの気持ちが飛躍するんじゃないかって思ったのよ。
ちょっとした憧れ気分(💛レベル10)⇒手紙を書いてみた(💛レベル12!)⇒ロッカーがシャッフルされて啓介のが分からなくなった(💛レベル15!!)⇒救世主のようにわたしが現れた(💛レベル50!!!)⇒わたしが話を聞く(💛レベル100!!!!)
バタフライ効果であり一種の吊り橋効果でもあるのよ。
え? わたしが絡んでから💛レベル上がり過ぎ?
当然よ、わたしはSさんの気持ちに沿って話をする。親身になってね。自分で言うのもなんだけど、わたしが相談にのれば、勇気百倍よ。Sさんの目を見て、微笑みを絶やさず、いちいち頷いてあげて、時には手を握ってあげて、ひょっとしたらハグまでしてあげる。
シカゴに居たころはケーブルテレビのキッズキャスターとかもしていたし、教会のバザーでもわたしのコーナーは売上一番だったし、タナカさんのお婆ちゃも「ミリーの笑顔はマリアさんみたいや(^▽^)/」って言ってくれるし、教会のペンドラゴン牧師も「ミリーは宣教師に向いている」って留学の推薦書に書いてくれたし。
とにかく、応援する気持ちで話をするから、Sさんは、さらに自信をもって💛レベルを上げるってわけよ。
むろん、恋は水物だからOUTになることもある(千歳のこともあるからね)、OUTになるにしても、恋は人を強くしてくれるし、人生を豊かにしてくれる。
と、まあ、人生前向きのミリーは思う。
それでね、今日は二人でお弁当食べながら相談しようということになって、ホームステイ先のキッチンを借りてお婆ちゃんの指導で千代子(ホームステイ先の女の子)といっしょにお弁当を作った。まあ、このお弁当だけで、2000字くらいは書いてしまいそうなので、省略するけど、とにかくわたしは前向きだったの!
で、いつもより早く学校に着いて職員室に学級日誌を取りに行ったら(今日は月に一度の日直)、ちょうど電話に出ていたSさんの担任が目配せしてきてね。
「あ、ミリーさん、うちのクラスのSさん、休みだから」
「ええ、せっかくお弁当つくったのに!」
話を聞くと、Sさんもお弁当を作ったり、今日わたしと話すことを考えていたら眠れなくなって風邪を引いたらしい。
しかし、わたしがお弁当を作ったことを家庭科の杉本先生が聞いていた。
「だったら、昼休みに家庭科準備室に来てよ、ミリーのお弁当見てみたい!」
運命が、また一つ分岐していくようだ。
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